米証券取引委員会(SEC)新委員長に就任したばかりのポール・アトキンス氏が、仮想通貨規制に関する第3回ラウンドテーブルに出席した。
4月25日に開催されたカストディアンをテーマにしたラウンドテーブルで、アトキンス氏は、ブロックチェーン技術によって効率性向上、リスク軽減、透明性強化、コスト削減といった「莫大な恩恵」がもたらすと期待していると語った。
また、SEC委員長としての目標のひとつは、「デジタル資産に対する明確な規制ルール」を整備することであると改めて強調した。
「市場参加者との対話を深め、トランプ政権および議会と協力して、暗号資産に適した合理的な枠組みを構築していきたい」とアトキンス氏は述べた。
トランプ大統領の批判者たちは、アトキンス氏のSEC委員長就任を「仮想通貨業界への配慮」と見る向きもある。トランプ氏は選挙戦でゲンスラー氏の解任と規制緩和を公約に掲げており、ゲンスラー氏はトランプ大統領の就任当日に退任した。
上院銀行委員会の民主党議員たちは、アトキンス氏と仮想通貨業界とのつながりについて疑問を呈しており、規制当局としての中立性や利益相反の懸念を指摘している。
SEC新体制下での規制方針
ラウンドテーブルに参加した仮想通貨ウォレット企業エクソダスの最高法務責任者ヴェロニカ・マクレガー氏は、4月24日にコインテレグラフに対して次のように述べた。
「これまでのように、やってもいないこと──例えば証券のブローカーディーラーと見なされること──を非難される心配はなくなった。全体的にみて、以前よりも怖くない規制環境になった。ただし、最終的な規制の形がどうなるかは依然として不透明だ」
SECの仮想通貨タスクフォースは、5月と6月にそれぞれ「トークン化」と「分散型金融(DeFi)」をテーマに追加のラウンドテーブルを開催する予定となっている。
タスクフォースを率いるへスター・ピアース委員は、3月にコインテレグラフの取材に対し、アトキンス氏と共にSECを軌道修正する機会を歓迎すると述べ、今後のSECが仮想通貨業界にとってより好意的な規制機関へと変わる可能性を示唆した。
ラウンドテーブルの開催に加えて、SECの仮想通貨タスクフォースは複数のデジタル資産企業と会合を重ね、規制枠組みの策定に向けた方針や課題について議論を行っている。