米国下院のトム・エマー議員は9月27日に行われた下院金融サービス委員会の公聴会で、米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長にを非難した。エマー議員によれば、ゲンスラー委員長はウォールストリートを贔屓し「イノベーション、競争、そして普通のアメリカ人を明らかに犠牲にしてきた」という。

エマー議員は、ゲンスラー委員長がゴールドマン・サックスで18年間の経歴を持つことを取り上げ、彼の金融界との深い関係が、公正な規制を行う能力を制限していると指摘した。

「あなたが世界の大手銀行の1つで18年のキャリアを積み、そこで巨額の財産を築いたことを考慮すると、大手金融中間業者に偏らず公正に規制することができるとは思わないのですか?」

さらに、エマー議員は「あなたが昨年のスピーチで指摘した、『多くの銀行取締役が私に、預金者が仮想通貨関連の取引所やウォレットに大量の資金を移していることについての懸念を伝えてきた』ということとは関係ないのですよね?」と質問を追加した。

ゲンスラー委員長は、すべての質問にイエスかノーで答えるよう求められた。公平な規制ができるかという最初の質問に対し、ゲンスラーは「もちろんです」と答えた。2つ目の質問に対して、ゲンスラー委員長は説明しようとしたが、続けることは許されなかった。

エマー議員はこれまでのところ、仮想通貨の推進者としての立場を取ってきた。特に、FTXの破綻を受けて2022年に始まった米証券取引委員会による仮想通貨関連企業への規制強化の中で、規制の明確化を強く求めてきたのは同氏だ。2021年から2022年にかけたエマー議員への主要な支援者として、仮想通貨業界に大きな影響を持つベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の名が挙がっており、この企業からの寄付額は41万8020ドルに上る。

公聴会においては、パトリック・マクヘンリー議員も登壇。元FTX CEOのサム・バンクマン=フリード氏との関連文書について米証券取引委員会が召喚される可能性に言及した。マクヘンリー議員は、ゲンスラー委員長がデジタル資産のエコシステムを抑制する取り組みを行いつつ、米証券取引委員会とFTX、さらにはバンクマン=フリード氏との関係についての透明性を欠いていると批判した。