米国のトランプ大統領は、米証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長を米ニューヨーク州の連邦検事に任命する意向を表明した。米司法省が19日に声明を発表した。仮想通貨(暗号資産)コミュニティでは、仮想通貨関連の規制や取締りを行うSECトップの変更は「大きなインパクトをもたらす」との声も出ている。

米司法省の発表によれば、SECのクレイトン委員長は、7月3日付で米NY州南部地区の連邦検事に就任するとしている。

仮想通貨業界で活躍する米弁護士のジェイク・チャービンスキー氏は、SEC委員長の交代はビットコインの上場投資信託(ETF)承認などで「業界に大きなインパクトを与える」とコメントしている。

「SECの委員長は、米国の仮想通貨規制において最も重要な役職の1つだ。クレイントン委員長の交代は業界に大きなインパクトを与えるだろう(良くも悪くも)。ETFの承認や今後数年間にわたる幅広い問題が明確化されるかチャンスは、そのバランスにかかっている」

クレイトン委員長のもとで、これまでビットコインETFの提案は拒否され続けてきている。チャービンスキー氏は、昨年9月にビットワイズのビットコインETFが拒否されたとき「クレイトン氏の任期が終わるまで承認されることはないだろう」と語っていた。

クレイトン氏の後任についてはまだ発表されていないが、その人選によっては今後の米国での仮想通貨規制が大きく変化する可能性がある。

現任の連邦検事は辞任を拒否

ただ、クレイトン氏の連邦検事任命が発表通りになるかはまだ不明確な点もある。米CNBCCNNなど複数の現地報道によれば、現在、米NY州南部地区で連邦検事を務めるジェフリー・バーマン氏は、「私は辞任するつもりがない」と語っている。

バーマン氏は「大統領に任命された候補者が上院で承認されれば、辞任する」と発言。バーマン氏は連邦検事として、トランプ大統領と関係する疑惑の調査も進めており、「それまでは調査を遅らせたり、中断することなく前進させる」と語っているという。