サウジアラビアは、野心的なビジョン2030を推進力として経済の多角化を加速させている。
石油依存からの脱却を図るため、同国はブロックチェーンや人工知能（AI）などの新興技術を採用し、ゲーム市場など急成長する市場を開拓している。しかし、いまだ世界のゲーム市場やAI開発分野で顕著な足跡を残していないサウジだが、Web3の専門家たちはゲーム分野への投資の影響は大きなものになる可能性があると語る。
「私たちが手がけてきた仕事やコミュニケーションから見て、サウジアラビアはWeb3に大きな関心を持っている」とアニモカ・ブランズの共同創設者ヤット・シウ氏はコインテレグラフに語った。
サウジアラビアがザ・サンドボックスやアニモカといった企業とパートナーシップを結んでいることから、シウ氏は、サウジアラビアがインターネットの新たな時代に進出しようとしていると見ている。
「サウジアラビアがWeb3ゲームやブロックチェーンゲーム、つまり私たちが実際に資産の所有者であることを証明するものが、ゲームの未来になると理解していると思う」と彼は述べた。
テクノロジーに精通した若者の関心により、サウジアラビアは、アラブ首長国連邦（UAE）とともに中東のゲーム市場の成長を牽引している。ボストン・コンサルティング・グループの報告書によれば、サウジは中東地域内で45％のシェアを占め、その価値は18億ドル（約2660億円）を超えている。また、ゲームコンテンツスタジオのオールコレクトによれば、同国は中東内で最も大きなゲーム収益を誇っている。
2017年、同国はサウジeスポーツ連盟を設立し、国内のゲーム業界の規制と発展を担っている。ブルームバーグは4月に、サウジアラビアが政府系ファンドを通じてゲーム分野に380億ドル（約5兆6158億円）を投資し、世界のゲームハブになることを目指していると報じた。
シウ氏は、サウジ政府がWeb3の「高度な概念」やその可能性、そしてそれがeスポーツとどのように一致するかを理解している一方で、仮想通貨や他の仮想資産に関する明確な規則が欠如しているため、ゲームへの統合がどのようなものになるかは不明であると語った。
「仮想通貨はまだ調査の段階にある。私は、サウジアラビアがそれをどう扱うかについて非常に前向きだと思う。しかし、まだ何も決まっていない」と彼は語った。
「香港、日本、UAEなどでは、仮想通貨とWeb3で何ができるかがより明確になっており、戦略を立てることができる」と付け加えた
サウジアラビアのWeb3ゲームの応用がどのようなものになるかはまだ見えていないが、シウ氏は、同国が他の市場を見て学んでいると指摘した。
「だから彼らは私たちと議論をしている。最良の手法は何か、どのように学べるかを知りたいからだ」と彼は説明した。「世界中でこれほどの渇望と、最先端を目指す意欲を見た場所はほとんどない」と彼は語った。
ゲームがWeb3の採用を促進する方法
伝統的なゲームコミュニティや開発者からの反発が続いている一方で、シウ氏は、ユーザーがWeb3に成功裏に転換するためには金融リテラシーが必要だと主張する。
「少なくともある程度の金融リテラシーがなければ、真のWeb3ユーザーにはなれない。それは銀行口座を持つ以上のことだ」とシウ氏は語る。
アニモカの共同創設者は、投資を理解しているWeb3ユーザーと比べると、ほとんどのWeb2ユーザーは労働者だと主張した。
「私たちが見つけたのは、Web3の大衆化への道は、Web2ユーザーに単にウォレットを提供することではない。彼らが今持っているものが潜在的な価値を持つ資産であり、それが何かを行い、維持すべき実際の価値を持つ異なるネットワーク効果を持つことを彼らに認識させなくてはならない」とシウ氏は言う。
一方、ミシカルゲームズのジョン・リンデンCEOは、ゲーム分野でのWeb3の採用がすでに見られるが、そのペースは遅いとコインテレグラフに語った。
「私たちはすでにいくつかの採用を見ている。彼らはWeb3の概念を紹介している。彼らは資産の購入と販売の概念を理解している」とリンデン氏は語った。
リンデン氏は、Web3はユーザー体験を強化し、収入を生み出す手段を提供するだけでなく、新たなゲームモデルに焦点を当てるべきだと指摘した。「（Web3ゲーム開発者は）新しいゲームモデルに焦点を当てる必要がある。それを始めると、クリエーターエコノミー、デジタルサプライチェーン、ギルドの所有権、ゲーム自体で自分の理論を考え出す能力が導入される」と彼は語った。「それらはゲーマーが取り組む原則だと思う」とリンデン氏は付け加えた。
ミシカルゲームズのCEOは、Web3ゲーム分野が次の2年間で5000万から1億人のプレイヤーを獲得し、自社のタイトルが2023年末までに1000万人を目指していると語っている
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン