サウジアラビア政府が新たに設置した反汚職委員会が逮捕した49人に、世界でも有数の富豪として知られるアルワリード・ビン・タラール王子(62)が含まれていることがわかった。同氏は、投資会社キングダム・ホールディングを通して、ニュース・コープやツイッター、シティグループなど幅広い投資を行っていることで知られる。

 アルワリード王子はビットコイン否定派としても知られ、最近の米CNBC テレビの経済番組のインタビューで、「ビットコインというものを私は信じていない。いつかは破綻するだろう。エンロンの二の舞が作られているのを見ているようなものだ」と答えていた。

 週末、世界中のメディアがこぞって報じた今回の逮捕劇は、サウジアラビアのサルマン国王(81)の息子であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)への権力集中が目的とみられている。サルマン皇太子は現在サウジアラビアが石油依存から脱却するための改革を推進しており、汚職対策はその一環とされている。今回の逮捕劇は、反汚職委員会が設立され、サルマン皇太子がそのトップに就任してから数時間後に実施されたという。

 32歳という若さのサルマン皇太子はソフトバンクグループの孫正義と巨大ファンドを設立するなど、先見的な姿勢を有することで有名。極めて保守的なサウジアラビアを「穏健で開かれた国にする」などと発言しており、ビットコイン否定派の王子を逮捕するなどして権力の集中をすすめる中、仮想通貨を含む新たな経済にどう取り組むのか注目が集まっている。