ビットコインのホワイトペーパーを書いたと主張する男は、自分の法学修士論文すらも書いていないかもしれない。

4月9日に「PaintedFrog」という匿名のライターが、自称サトシ・ナカモトのクレイグ・ライト氏の論文と他の著者が公開した論文が酷似していると指摘した

ライト氏は、2008年に英国のノーバンブリア大学で「インターネット仲介者の法的責任のインパクト」というタイトルで法学修士の論文を執筆した。

しかし、以下のスクリーンショットはライト氏の論文がヒラリー・ピアーソン氏が「インターネットサービスプロバイダーの法的責任」というタイトルで書いた1996年の論文と複数の箇所で同じ表現や文言が用いられていることを示している。

Left: Wright’s 2008 dissertation; Right: Pearson’s 1996 paper

(出典:Medium 「左:ライト氏の2008年の論文 右:ピアーソン氏の1996年の論文」)

Left: Wright’s 2008 dissertation; Right: Pearson’s 1996 paper

(出典:Medium 「左:ライト氏の2008年の論文 右:ピアーソン氏の1996年の論文」)

また、以下の文章は、完全コピーとまではいかなくてもライト氏がピアーソン氏の論文を言い換えて自分の論文に記載し、参照元を明示しなかったことを示している。

Left: Wright’s 2008 dissertation; Right: Pearson’s 1996 paper

(出典:Medium 「左:ライト氏の2008年の論文 右:ピアーソン氏の1996年の論文」)

「PaintedFrog」は、ピアーソン氏の論文にある58段落のうちライト氏は45段落を悪用。そのうち25は完全コピーで20は言い換えを使ったと解説した。明らかな盗用であり見過ごされるべきものではないと主張した。

他の論文でも盗用

And another one

また2008年のライト氏の論文は、2005年にロナルド・マン氏とセス・ベルズリー氏が書いた「インターネット仲介者の法的責任がもたらす約束」という論文を引用していたものの、彼らの論文の脚注のすべてを丸々使っていたことが分かった。

Mann & Belzley’s 2005 paper

(出典:Mediumマン氏とベルズリー氏の2005年の論文)

Wright’s 2008 dissertation

(出典:Medium 「ライト氏の2008年の論文」)

コインテレグラフはライト氏について説明を求めているが、執筆時点で返信はない。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン