FTX元CEOのサム・バンクマン-フリード氏(通称SBF)が、陪審員12名が不在のニューヨークの法廷で証言を行った。
10月26日の法廷からの報告によると、SBF氏の注目を集める証言は、メッセージングアプリ「シグナル」の使用と、FTXでの通信データの保持について弁護士のマーク・コーエン氏が質問する形で始まった。バンクマン-フリード氏は、記録に関する会社の方針に従って行動し、自動削除が設定されたメディアは「決定のためのチャンネル」ではなかったと主張したという。
「なぜ自動削除をオフにしたのか?」とコーエン氏がバンクマン-フリード氏に尋ねると、「規制当局から聞いていた」と彼は答えた。
コーエン氏は、バンクマン-フリード氏がFTXから顧客資金をロンダリングするために使用されたとされる「影の存在」であるノースディメンション社の設立についてバンクマン-フリード氏に質問をした。SBF氏によると、元規制責任者のダン・フリードバーグ氏が設立に関する書類を提供し、彼はそれに疑問を持つことなく署名したという。
「FTXの預金をアラメダ経由で取り扱うことは合法だと思っていたのか?」とコーエン氏がSBF氏に尋ねると、「そうだ」と彼は答えた。
SBF氏の刑事裁判での主要な争点の1つは、バンクマン-フリード氏がFTXの顧客資金を流用してアラメダを通じて投資を行ったという点だ。バンクマン-フリード氏は、投資についてフリードバーグ氏、法律事務所フェンウィック&ウエスト、FTXの元法務顧問カン・スン氏とコミュニケーションを取ったと証言した。
FTXの利用規約の一部が顧客の資金使途に関係していると考えていたかについて、バンクマン-フリード氏は「先物取引だけだと思っていた」と言い、「そして、アラメダはそれを行う権限があった」と語った。
バンクマン-フリード氏は、顧客資金の不正流用に関する刑事裁判での最後の証人となる。陪審員は「来週の初めの数日間で決定する」が、FTX元CEOの証言全体を聞くことはないとのことだ。
SBF氏は、彼に対する刑事訴訟の全7件の罪状に対して無罪を主張しているが、2024年3月に開始予定の2回目の裁判ではさらに5件の罪状が追加される予定だ。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン