スペインのデータ保護庁(AEPD)は3月6日、ワールドコインに対してスペインでのデータ収集と処理を停止するよう命じ、3か月間の業務停止命令を発した。

ワールドコインは、OpenAIの共同創業者兼CEOであるサム・アルトマン氏が設立したツールズ・フォー・ヒューマニティによって開発された製品・サービスだ。ワールドコインのホワイトペーパーによると、その使命は「人類の大多数が所有する、世界的に包括的な身元確認および金融ネットワーク」を創造することであり、AIによるユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)への道を作り出すことを目標としている。

AEPDの命令は、スペインのユーザーが同意を撤回できないという苦情が調査されており、ワールドコインが未成年者からデータを収集したとされる疑惑があると主張している

「AEPDは、特別な個人データの収集と処理の停止および既に収集されたデータのブロックを要求し、不十分な情報、未成年者からのデータ収集、同意の撤回が許されないなどの点を告発するいくつかの苦情を受け取っている」とある。

ワールドコインは、コインテレグラフに対して以下のようなコメントを送っている。

「ワールドIDは人々にオンラインでのアクセス、プライバシー、保護を与えるために作られた。AIの時代における人間性を主張する上で最もプライバシーを守り、安全なソリューションである。常に規制当局と対話し、フィードバックを検討し、質問に答える用意がある」。

さらにコメントは次のように続く。

「数か月にわたり、GDPRにおけるワールドコイン財団とツールズ・フォー・ヒューマニティのリード監視当局であるバイエルンデータ保護局(BayLDA)と協議を重ねてきた。スペインデータ保護局(AEPD)の今回の行動はEUではなくスペイン国内に限定されたものであり、当社の技術に関する不正確でミスリーディングな主張を世界中に広めている」。

スペイン当局の差し止め命令は、香港の個人データのプライバシー委員会(PCPD)がワールドコインに対する調査を行った1か月余り後のことだ。PCPDは1月にデータプライバシーに関する懸念を理由に、ワールドコインの香港オフィスに対して立ち入り調査を実施した

ワールドコインを巡る論争は、オーブ(Orb)と呼ばれる生体認証スキャナーの使用に起因している。ワールドコインのユーザーはアプリをダウンロードしてサービスに登録し、最寄りの「オーブ」がある施設に行き、虹彩のスキャンを行う必要がある。人間の虹彩は個々に固有であるため、この生体認証方法は指紋認証などの一般的な識別技術よりも正確であると考えられている。

認証されると、ユーザーの身元は独自の生体データに紐付けられ、ワールドコインのサービスを使って独立して検証できるようになる。サービスに登録し、ワールドアプリのアプリケーションでアカウントをアクティブ化したユーザーには、ワールドコインのWLDトークンで支払いが行われる。

ツールズ・フォー・ヒューマニティによると、ワールドコインは2024年3月5日時点で400万人の認証ユーザーを有している。

Source: @Worldcoin on X