Bitcoin.com会長で「ビットコインジーザス」との愛称でも知られる、ロジャー・バー氏が、バーチャルブロックチェーンウィークの講演の中で、新型コロナウィルス対策の強制ロックダウン(都市封鎖)を即時に終了するよう求めている。バー氏は、強制ロックダウンが経済的および個人的自由に反すると主張している。

「ロックダウンは、今すぐに終わらせる必要があると思う」とバー氏は主張する。

「自分を閉じ込めておきたいなら、それはあなたの自由だ。しかし、私たちの人生を生きたいと思っているほかの人々も、同じように自由にそれができるはずだ」

バー氏はロックダウンの即時終了を求めているが、テクノロジー業界の中では、テスラやスペースXを率いるイーロン・マスク氏も同様にロックダウンの終了を訴えている。

マスク氏はロックダウンの延長を「ファシスト」と非難し、「すべての憲法上の権利に反して、人々を彼らの家に投獄している」と主張している。

ロックダウンはより多くの死を引き起こす

バー氏は、デジタル通貨が世界により多くの経済的自由をもたらすのにどのように役立つかというキーノートスピーチを行った後、コインテレグラフのインタビューに答えた。

バー氏は、インタビューの中で次のように語っている。

「ロックダウンされることで、仕事に行けなくなり、自分の人生を生きられなくなり、お店に行けなくなり、やらなければならいことをやり遂げることができなったりしている。それは経済的自由だけでなく、普遍的な個人の自由と結びついている」

さらにバー氏は、現状に対する怒りを露にしてる。

「多くの人々が、この問題について沈黙していることは非常に苛立ちを感じる。地球全体で人々の自由が剥奪されるというクレイジーな状況だ」

厄介な問題

直近の数週間で人々の安全と自由のバランスをどのように取るかという議論が激しくなっている。米国では数多くの反ロックダウン集会が開かれている。一方でロックダウン支持者は、コロナウィルスの感染を減らすことが命を救うことになるという、医学的・疫学的なアドバイスが正しいと主張している。

しかし、バー氏は、ロックダウンが意図しない結果を招くと警鐘を鳴らす。

「世界的な経済停止による影響は、コロナウィルス自体よりもはるかに多くの人々を死に至らしめるだろう」

コロナウィルスによる死はニュースで毎日報道される一方で、経済停止による死は人々の目からは見えないと、バー氏は主張する。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンによる研究は、バー氏の主張を支える論拠となりそうだ。

ロックダウン中に医師や病院を避けた結果、英国では化学療法の治療への参加が60%低下し、がんの疑いがある場合の緊急照会が76%減少したことがわかった。研究者らは、この結果として2万人がガンによって死亡する恐れがあると予測している。

病気を軽視しているのか?

しかし、バー氏はツイッターでコロナウィルスの脅威の深刻さを軽視していると非難されている。

バー氏は、その非難に対して反論している。同氏は「人々は私の主張を誤解している思う。私は脅威を軽視しているのではない。この病気の脅威は本物だ」と語る。

「ペストが欧州で流行したとき、人々は自らを隔離するようなことはしなかった。病気の人を健康な人から遠ざけようとしただけだ。今は正反対のことをしている」

経済的自由 = より良い生活

バー氏はスピーチの中で、経済な自由度が高い国でこそ、富裕層と貧困層の両方の平均所得の高さ、平均寿命の長さ、識字率の高さ、環境保護、暴力的な紛争の減少、汚職の減少、自己申告による幸福度の高さと相関関係があると強調した。

「経済的自由」を「社会のメンバーが経済に参加するのがいかに簡単であるかの尺度」と定義した上で、自由貿易や財産権保護、事業の開始のしやすと、通貨の安定性といった要素を並べている。その上で経済的自由が高い国には、香港やスイス、シンガポール、豪州が含まれ、最悪の国は北朝鮮、ベネズエラ、キューバ、コンゴを挙げている。

「これら2つの国のリストの中で、どちらに住みたいと感じるかは自明のことだろう」とバー氏は語った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン