仮想通貨を伝統的な市場に対するヘッジとして喧伝する人もいるが、コインベースのチーフエコノミストの分析によると、現在のデジタル資産は石油・ガスなどのコモディティ、ハイテク株や医薬品株と同様のリスク特性を持っている。

この分析は、コインベースでチーフエコノミストを務めるチェザーレ・フラカッシ氏が6日にブログ記事で掲載したものだ。それによると、2020年のパンデミック以降「株価と暗号資産価格の相関が大幅に上昇した」という。

「誕生から10年間、ビットコインのリターンは平均して株式市場のパフォーマンスと相関はなかったが、COVIDの大流行が始まってからその関係が急速に高った」とフラカッシ氏は指摘している。

「特に、現在の暗号資産は、石油商品価格やテクノロジー株と同様のリスク特性を共有している」

フラカッシ氏は、5月に発表したコインベース・インスティテュートのレポートに言及する。それによれば、ビットコインとイーサリアムは天然ガスや石油などのコモディティと同様のボラティリティを持ち、日次ベースで4~5%変動しているという。

ビットコインはしばしば「デジタル・ゴールド」に例えられるが、日次ボラティリティが1~2%程度の金や銀といった現実の貴金属と比較すると、はるかにリスクの高いものであるということが、そのレポートでは指摘されている。

ボラティリティと時価総額の点でビットコインに最も似ている銘柄は、電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)であるとレポートでは述べている。

一方、イーサリアムは、時価総額やボラティリティから、電気自動車メーカーのルーシッド(LCID)や製薬会社のモデナ(MRNA)に近いという。

フラカッシ氏はこのことから、暗号資産はテクノロジー株などの伝統的な資産クラスと非常に似たリスク特性があると述べている。

「このことは、暗号資産が他の金融システムとますます絡み合い、その結果、世界経済を動かすのと同じマクロ経済の力にさらされると市場が予想していることを示唆している」

フラカッシ氏は、最近の仮想通貨価格の下落のおよそ3分の2が、インフレや迫り来る不況などのマクロ経済の要因の結果であると付け加えた。仮想通貨の下落の3分の1は、仮想通貨「だけ」の見通しが弱くなったことに起因しているという。