リップル(XRP)が急反発し、17日につけた0.9ドルから75%以上上昇している。時価総額ベースで上位10番の仮想通貨の上昇率としては最大となり、日本時間で19日未明現在は1.7ドル付近で推移している。

 ただし1月4日につけた3.84ドルから比べると約半値となっており、チャート的にもここからが正念場だ。下降トレンド線は無傷であり弱気トレンドは継続中だ。現在三蔵パターンのネックライン上で推移しており、これを割ると更なる下落も考えられる。潮の流れを変えるには、さらなる反発が必要だと思われる。

 値動きには関係ないが、市場が荒れた16日にリップル経営陣による興味深い動きがあった。

 リップル社のクリス・ラーセン会長とステファン・トマスCTOが、約28億円分のXRPをレンタルスペースの共有仲介サービスを展開する米ベンチャー企業であるオムニに投資したのだ。オムニは様々な物品のレンタルを可能にするP2Pのマーケットプレイスを運営する。トマス氏によると、オムニが行う物品を円滑に動かす事業は、リップルが行うお金を動かす事業と通じるところがあるという。

 また、XRPの活用を含めたビジネス上の協業も検討されており、ラーセン会長がオムニ社の顧問会に、トマス氏が取締役として就任する。

 今回の動きの背景として考えられるのは、米マスコミで巻き起こっているXRPの長期的価値をめぐる論争だ。最近になって米ニューヨークタイムズ紙が、リップル社が連携する100以上の金融機関は同社のソフトウェアを使っているだけ、と批判。リップルのXRPトークンを使用するのはマネーグラムとメキシコのキュアリックスだけで、同紙が取材した金融業界関係者も銀行がXRPトークンを採用する可能性は低いとしていた。

 XRP価格の高騰で多大な軍資金を手にしたリップル社はこれをいち早くスタートアップに投資することで、金融機関の枠組みを超えた生態系をつくろうとしているのかもしれない。