海外仮想通貨取引所大手バイナンス(Binance.com)が、2021年第1四半期に約1100億円相当の売上を上げた可能性が指摘されている。競合取引所FTXのサム・バンクマン-フリード氏が独自の推定を公表した

様々な仮想通貨を扱うバイナンス(Binance.com)は金融庁に対し仮想通貨交換業登録をしておらず、日本居住者は口座開設ができない仮想通貨取引所だ。Binance.comは米国居住者も使用することができない。とはいえ実際は多くのユーザーが交換業登録をうけた取引所が扱わない仮想通貨を求めて口座を開設しているのが現実だ。

バンクマン-フリード氏は不確定と断りながらも公開情報からバイナンスの2021年第1四半期の売上が10億ドル(約1100億円)、利益が7.5億ドル(約820億円)、通期換算で売上高40億ドル(約4300億円)、利益30億ドル(3300億円)と推定。平均手数料は0.016%以下とした。

対照的に、今週米ナスダックに上場した仮想通貨取引所コインベースのこれまで通算の収益は7億8000万(850億円)~13億ドル(約1400億円)の間と推定されている。

ちなみに日本国内の仮想通貨取引所はほとんどが赤字であえいできており、直近の通期決算で純利益を出しているDMMビットコインでも約7~8億円、GMOコインも1億円規模に過ぎなかった。ビットコイン相場が盛り上がり始めた昨年秋以前のデータとはいえ、あらためて見るとバイナンスの収益性との対比が鮮明だ。

さらにバイナンス独自の仮想通貨BNBは3月27日以来233ドルから180%上昇し最高で640ドルに達している。2017年の発行時価格は約0.1ドルだったから、4年で6000倍以上になったことになる。現時点での時価総額も8兆円を超える規模でイーサリアムを追いかけている。

さらに昨年には分散型金融(DeFi)が勃興し基盤となるイーサリアムの手数料高騰が課題となる中、バイナンススマートチェーン(BSC)という独自のブロックチェーンも立ち上げた。バイナンスは関係を否定しているが同チェーン上で運営される分散型仮想通貨取引所パンケーキスワップも一時同分野で上位に躍り出ている。

バイナンスの代表であるジャオ・チャンポン(通称CZ)氏は最近のインタビューで個人資産のほとんどがビットコイン等の仮想通貨で現金は一切持っていないと明かしている。Binance.comの運営から得られる巨額の仮想通貨建て収益や、時価総額が膨らみ続ける所有仮想通貨を現金化して安全に預けることができる主要国の銀行を見つけるのは簡単ではないだろう。収益の大部分はあくまでも仮想通貨として仮想通貨エコシステムにとどまることになりそうだ。

BNB/USDT 日足チャート