ポイント

・8.1万ドルのWトップのネックラインに跳ね返され一時7.5万ドル割れ

・USTRグリア代表、大統領は関税の免除をしていないと発言、リスクオフへ

・対中104%関税発動、午後1時よりスタート

・人民元が2007年以来の安値水準、中国から資本逃避が始まる可能性あり

昨日のBTC相場

昨日のビットコイン(BTC)相場は上値の重い展開となった。一昨日、7.4万ドル(約1080万円)台で反発すると、一時8万ドル(約1165万円)台を回復したが勢いは続かず、今朝方には7.5万ドルを割り込んだ。

BTCは3月11日に7.6万ドル台から反発したが、年初来高値のダブルトップのネックラインと一目均衡表の雲の下限が重なる8.9万ドル付近で2度跳ね返されていた。先週木曜日のトランプ関税発表後も、BTCは8.1万ドル台で下げ渋っていた。しかし、週末にトランプ政権が株安を容認しているとの見方が広がり、週明けの米株が暴落する「ブラックマンデー」の再来が懸念されたことで急落。8.1万ドルをネックラインとするダブルトップが完成した。

アジア株の急落もあり、米株先物が失速すると、BTCは年初来安値の7.6万ドルを割り込んだ。何とかダブルトップの倍返し水準である7.4万ドル近辺でサポートされると、月曜日にCNBCが「相互関税が延期」と報じたことで一時8.1万ドルまで反発。しかし、この報道が誤報と判明し失速した。一方で、ナスダックが前日比プラスとなるなど、安寄りした米株が反発を見せ、ブラックマンデーを回避。昨日の日本株も大幅高となる中、BTCは8万ドル台に回復した。

しかし、ダブルトップのネックラインである8.1万ドルに上値を抑えられ、米株先物の上昇が一服したこともあり、じりじりと値を下げた。欧州時間に入り米株先物が上昇に転じると、BTCは再び8万ドル台に乗せたが、USTRのジェイミーソン・グリア代表が「トランプ大統領は関税免除を明言していない」と証言したことが伝わると、リスクオフムードが広がった。さらに、米国東部時間正午(日本時間午前1時)に中国への関税が104%に引き上げられた(実際の徴収は9日分から)と報じられると、リスクオフムードが一層強まった。そうした中、行われた3年債入札も低調な結果に終わり、BTCは7.6万ドル台に値を下げた。

その後は7.6万ドル台で下げ渋っていたが、今朝のアジア株が総崩れとなる中、BTCは一時7.4万ドル台に下落している。

本日のBTC相場

続きはこちら

著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト

東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。