著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・27,000ドル割り込むもレジスタンスだった26,000ドル半ばでサポート
・Mt.GOXの支払い延期でSell the Fact
・米債はベアスティープ、トリプル安で資本逃避気味
・いずれも売り材料とは言い難く、一時的なポジション調整か
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は反落。
27,000ドル(約400万円)を割り込み、26,000ドル(約385万円)台半ばに値を下げた。
BTCは8月末の高値と9月の安値との半値戻し26,500ドル近辺を上抜けると、27,000ドル台乗せに成功。しかし200日移動平均線などに上値を押さえられ、概ね27,000ドル前半での取引が続いた。
注目のFOMCでは予想通り政策金利は据え置かれたが、参加メンバーの金利予想、ドットチャートで2024年と2025年の予想金利が0.5%ずつ切り上げられたこと、パウエル議長が会見で適切であれば追加利上げの準備があるとしたことなどが嫌気され、一時27,000ドルを割り込んだ。
同水準ではサポートされ、すぐさま27,000ドルを回復したが、オーストラリア当局がクラーケンの子会社ビット・トレードを起訴したことなども伝わる中、上値の重い展開が続いた。
すると、Mt.GOXの破産処理における債権者へのBTC・BCH支払いが2023年10月末から2024年10月末に延期されると伝わった。本来、Mt.GOXが保有する大量のBTCが市場に出回ることは売り材料として意識され、その延期はポジティブ材料の筈だが、暗号資産取引業者QCPキャピタルなどが事前に噂として伝えていた為か、Sell the Fact気味にBTCは売られた。
更に、一服していた米長期金利の上昇が再開、これを嫌気して米国先物が下落する中、BTCは27,000ドルを割り込むと、一時26.000ドル後半に値を落とした。
見方が分かれていた英政策決定会合で21会合ぶり利上げが見送られたが、将来のインフレ懸念となるとして米欧長期金利が上昇、新規失業保険申請件数も低めとなる中、BTCは一時26,000ドル前半に値を下げた。
しかし、米株が安寄り後、下げ渋り、米長期金利の上昇も一服すると、BTCはやや反発して26,500ドル台を若干上回る水準での取引となっている。