著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・29,000ドル台でもみ合いもやや上値が重い展開
・欧州初のBTC ETF取引開始、NY連銀指数は弱め、カシュカリ総裁はタカ派コメント
・バイナンスの決済サービス停止、中国の不動産バブル崩壊懸念で米株下落
・いずれの材料も小粒で、早ければ今週中と目されるグレースケール裁判の判決に注目
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場はもみ合い推移もやや上値の重い展開。
未明に29,000ドル(約420万円)台後半で上値を押さえられると、29,000ドル台前半でのもみ合い推移が続いた。
アルゼンチンの大統領予備選で予想に反してペソ廃止を唱えるミレイ候補がトップとなり、これを嫌気したペソ売りへの対抗策として同国中銀がペソ切り下げを実施、同氏がBTC肯定派だったことも手伝ってBTCは29,000ドル台後半に値を伸ばした。
しかし、30,000ドルを前に上値を重くすると、2010年以来動きが無かったアドレスからの移動なども嫌気され29,000ドル台前半に値を落とした。
午後に入るとオランダで欧州初となるBTC ETFが上場されると伝わりBTCはやや強含んだ。
また、米小売売上高は予想に対し強めだったが、NY連銀製造業景況感指数が予想を大きく下回ったことで米長期金利が低下、BTCは上昇したが、29,500ドル手前で跳ね返された。
するとカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁がインフレはまだ高すぎると追加利上げの必要性を示唆、米長期金利が切り返す中、BTCは反落した。
この間のドル売り・ドル買い相場において、BTCUSDとUSDJPYが互いに相殺し合い、BTCJPY価格は小動きに終始した。
その後、以前から漏れ伝わっていたがバイナンスが暗号資産と法定通貨との決済サービス、バイナンスコネクトを停止するとコインデスクが伝えると、折からの中国不動産バブル崩壊懸念や金融機関格下げの可能性で米株が下落していたこともあり、BTCは29,000ドル近辺まで失速した。