保有しているビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が塩漬けになっている人に朗報だ。仮想通貨を担保に欧米株・為替・商品・仮想通貨の最大20倍のレバ取引ができるアプリ「Quantfury(クアントフューリー)」がiPhoneとアンドロイド向けにリリースされたのだ。仮想通貨の取引アプリはこれまでもあったが、仮想通貨を担保に他のアセットクラスを取引できるアプリは珍しい。現物取引ではなくCFD取引(差金決済取引)に近いが、仮想通貨の損を別のトレードで取り返す!と意気込む人にとっては面白い選択肢となる。

昨年12月にリリースされた同取引アプリの使い方は至って簡単だ。AppStoreGoogle Playでダウンロードし電話番号認証を行った後、仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、テザー、ダイ、ダッシュ、Qtum)を指定のウォレットに送信して証拠金を払い込むと準備完了となる。

振り込んだ仮想通貨を根拠に約20万円~1000万円相当のポジションを組めることになる。例えば1万円分のビットコインを入金したら、手数料なしで20万円分の欧米株、商品、為替、仮想通貨ペアの取引ができるわけだ。利益が出たら仮想通貨で払い込まれ、損がでたら入金してある仮想通貨から差し引かれる仕組みだ。また、損が出てももともと入金した証拠金で購入できる金額は変わらないという。

現在Quantfuryアプリで取引できるのはニューヨーク証券取引所、ナスダック、ロンドン証券取引所等で取引されている欧米株式と、円ドル含む主要為替通貨ペア20種、石油や天然ガス、金、プラチナ等商品6種。仮想通貨ではビットコインやイーサ等、ビットフィネックスやバイナンスで上場されている27ペアが取引できる。

もちろんアプリで取引できるのは現物ではなく、純粋に価格変動での差分が利益になる仕組みだ。これが意味するのは「買い」だけではなく「ショート(売り)」からでも入ることができるということで、株式市場等の下落局面でも利益を挙げたい人には面白いツールとなる。取引からでた損失が担保金と同額となったら自動的にロスカットになるのでリスクも限定されているようだ。

Quantfuryは2017年4月にメリルリンチやサクソ銀行等の投資銀行に所属した創業者たちが「クオンツ」と呼ばれる高度な数学や物理学を利用して利益をあげるトレーダーらと設立。Invictus CapitalやHyperion Fund等といった仮想通貨特化型ファンドからの調達を行い、現在カナダのトロントとシンガポールに拠点を設けている。イギリス領ヴァージン諸島の「2010年投資ビジネス法(SIBA)」に準拠して運営している。

仮想通貨ではなくフィンテック企業を標ぼうするQuantfuryの代表は「現状のリテール向け取引サービス業界は搾取的。Quantfuryのビジョンは金融市場における取引を透明化することだ」と語る。アプリに注力し、取引やレバレッジに係る手数料を完全無料にしているのもこのビジョンに依るところだろう。

確かにこのようなアプリはこれまで存在しておらず、市場の反応やいかにというところだ。仮想通貨の新たなユースケースとしても広まっていくかに注目だ。

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