国際決済銀行(BIS)のレポートによると、2020年は中央銀行デジタル通貨の勢いが本格化する年になりそうだ。

8月24日に発表されたBISのワーキングペーパーでは、世界中のCBDCの研究開発作業や技術的アプローチ、政策について分析。調査では16000件以上の中央銀行のデータベースに基づいて、既存のCBDCの設計や各国の取り組みについて評価している。

レポートでは「中央銀行がCBDCを発行すべきかどうかという姿勢については、過去1年間で大きく変化している」と指摘。CBDCに関する世界的な関心度合いについて分析した。

BISのデータによると、2020年には、検索キーワードの関心を示すグーグルトレンドでの指数が、仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)やフェイスブックのリブラを上回る結果となっているという。

Google search interest over time

(出典:BIS「グーグル検索による関心指数」)

BISはCBDCが今年注目を集めている理由として、2019年にリブラが発表されたことで、世界中の中央銀行が対応を迫られた点が「転換点」だったとした。

2019年後半には世界中の人口の5分の1にあたる中央銀行が、近くCBDCを発行する可能性が高いとされるレポートが発表され、1〜6年の中期的にはリテールCBDCを発行する可能性がある中央銀行の割合は2019年に20%と倍増しているとした。

BISによると、CBDCの調査研究や関心の高まりを示す決定的な要因となったのが新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックによるものだという。

「ソーシャルディスタンス対策や、現金がウイルスを蔓延させる可能性があるかもしれないという懸念、そして新たな政府間の決済スキームがデジタル決済への移行を加速させている」

ハイブリッド型が増加

また、レポートではインフォーマル経済が大きい地域ではリテールCBDCの検討が進んでいることを明らかにし、調査対象となったプロジェクトでは、CBDCが現金を代替するものではなく、補完する目的で検討されていると分析した。

リテールCBDCに関する技術面では、「ハイブリッド型」もしくは「仲介型(Intermediated)」の発行を検討している中銀が増加していると指摘した。ハイブリッド型とは中央銀行がCBDCを発行するものの、仲介機関がリテール決済を促進するものだ。

一方で、中央銀行が直接エンドユーザーに対してCBDCを発行する「直接型」を検討している国や地域はごく少数であるとした。また、民間が中銀に裏付けされたステーブルコインを発行し、エンドユーザーに流通させる「間接型」を検討している中央銀行はないという。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン