英仮想通貨取引所イートロ(eToro)は、仮想通貨データ企業のザ・タイ(The Tie)との提携の元、15種類の仮想通貨を採り上げた市場分析レポート「デジタル資産状況 2020年第1四半期」を公開した。ビットコイン(BTC)への関心の高まりほか、匿名通貨ジーキャッシュ(ZEC)やモネロ(XMR)などプライバシーに配慮した仮想通貨は、2019年に価格が急上昇したという。

レポートによると、2020年第1四半期にZECは、ビットコイン(BTC)に対して26.97%上昇し、XMRは4.61%の小幅な上昇になったという。プライバシーとスケーラビリティを改善するプロトコル「MimbleWimble」(ミンブルウィンブル)を取り込んだテストネット運用開始を9月までに予定しているLTCは、BTCを8.97%上回ったとした。

プライバシーを重視する投資家が利益を牽引か

コインテレグラフの取材に対してTieの共同設立者兼CEOのジョシュア・フランク氏は、デジタル資産におけるプライバシーに関する懸念について言及した。

「新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックをきっかけに、政府が個人の動きやデータに対するコントロールを強化していく中で、人々がプライバシーと匿名性を実現する方法を模索する傾向が今後も見られると思う。それはデジタル資産分野にも波及しており、ZEC、XMR、LTCなどプライバシー保護を重視した仮想通貨の需要が急増しているのを目の当たりにしている。これら3つの仮想通貨は、2020年第1四半期、BTCに対して収益率が上回った」

3月の暴落でも、BTCへの関心は高まっている

BTCは、2020年3月に価格が急落し、4月現在の価格は2019年夏に比べて半分程度しかないという。XRP(リップル)は、2019年は過去最悪の年となり、2020年3月には時価総額第3位の座を失った状態だそうだ。

レポートによると、過去12ヵ月間「BTCとS&P500における投資家のセンチメントは近しい」ものになっているとのことだ。2020年3月以降、BTCはS&P500よりも金(ゴールド)との相関が高くなっているという。フランク氏によると、BTCが伝統的な市場から距離を置くことで恩恵を受けるかどうかを真に判断するには、まだ時期尚早だと指摘した。

「BTCは、2020年3月12日に史上最大級の価格下落があったが、弾力性を備えており、言及するツイート数も47%増加するとともに価格が大幅に回復した。BTCへの関心は高まっており、デジタルゴールドをめぐる物語が先導している」

(出典: 英仮想通貨取引所イートロ(eToro)および仮想通貨データ企業のザ・タイ(The Tie)

新型コロナに言及したニュースは半減期の8倍多い

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは、伝統的な市場である金融業界に大きく影響した。フランク氏は、それを無視するのは難しいものの、マクロ経済の不確実性はBTCにとってプラスに働くだろうと考えているそうだ。

「新型コロナウイルスがもたらしたマクロ経済の不確実性は、BTCにとって半減期よりも重要な視点になっている。2020年3月現在、新型コロナウイルスに言及しているBTC関連ニュースは、半減期のニュースに比べ約8倍多い」

(出典: 英仮想通貨取引所イートロ(eToro)および仮想通貨データ企業のザ・タイ(The Tie)

この状況が一般的な投資家に対して「流動性の急増」をうながすか尋ねたところ、フランク氏は、BTCは依然として重要なプレイヤーであると信じているという。

「状況が落ち着き次第、投資家は株式や債券に代わるものを探すようになり、仮想通貨に目を向けるだろう」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン