金推進派のピーター・シフ氏とバイナンス共同創業者ジャオ・チャンポン(通称CZ)氏が登壇したバイナンス・ブロックチェーン・ウィークのパネル討論で、シフ氏が手渡された金の延べ棒の真贋を確認できず、物理的な金の検証がいかに難しいかが浮き彫りになった。
議論は、分割可能性、携帯性、検証可能性、耐久性、供給制約といった、資産が貨幣として機能するかを測る主要な要素に基づき、トークン化された金とビットコイン(BTC)のどちらが優れた価値保存資産かをめぐって展開された。
CZ氏は、ビットコインが価値保存に優れる理由として、フルノードや暗号学的に安全な公開台帳をチェックする方法など、誰でも即座に検証できる点を挙げた。
ジャオ氏はシフ氏に金の延べ棒を手渡し、こう尋ねた。
「キルギスと書かれています。1,000グラム、純金999.9、シリアルナンバー入りです。これは本物の金ですか?」
シフ氏は「分からない」と答え、会場の仮想通貨コミュニティから笑いと拍手が起きた。ジャオ氏は10月にもトークン化された金を批判しており、「発行者を信頼しなければならない」と指摘していた。この日の対決はその延長線にある。
金推進派とビットコイン支持者の論争は長年続いており、シフ氏を含む金推進派は、金のトークン化は携帯性・分割性・検証性の課題を解決し、分散型金融(DeFi)用途にも有用だと主張している。
一方ビットコイン支持者は、現実世界資産のトークン化(RWA)は、デジタル金トークンの裏付けとなる物理的な金の問題、すなわち中央集権性、相手リスク、コストの高い監査プロセスといった課題を解決しないと反論する。
金の完全検証で業界標準となっているのは「火試金」
ロンドン地金市場協会(LBMA)によれば、金の貴金属含有量を科学的に検証するアッセイ(品位検査)には、複数の業界標準手法が存在する。
これにはX線蛍光分析(XRF)、超音波検査、渦電流検査などが含まれるが、いずれもコストが高く、専門家を必要とし、適用範囲に制限がある。
XRFは厚さ10ミクロンまでの金属の金含有量しか測れず、他の手法も同様の制約があり、「決定的」な方法とは言えないとLBMAは述べる。LBMAによれば、100%の確実性に到達できる方法は一つだけだ。
火試金(火で溶かして成分を検査する手法)は、金の完全な真偽確認が可能な唯一の方法だ。ただし、LBMAはこれを「破壊的」検査と説明している。
LBMAは次のように述べている。
「現時点では、決定的な非破壊検査方法は存在しない。そのため、基準未満のアッセイに対する最良のリスク軽減策は、認定精錬所と厳格な管理体制から成るグッドデリバリー制度である。」
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