2010年に世界で初めてビットコインによる物品の購入(1万BTCでピザ2枚)をしたラズロ・ハニエツ氏が25日、ビットコインライトニングネットワークを使い、再び2枚のピザを購入した。ライトニング開発者のメーリングリストにおける投稿で分かった。

 ハニエツ氏はライトニングネットワークでピザを購入後、配達自体は地元のピザ店へ「下請け」に出した。利用できる「ピザとビットコインのアトミックスワップを実現するソフトウェア」が無いためだという。

 ハニエツ氏によれば今回の取引は「日常の取引においてライトニングネットワークでの支払が機能することを実証するものだ。(理論的には)ピザ屋が自身のライトニングノードを使って直接支払を受けることもできる」。

 最初のビットコインとピザの取引は2010年5月22日に成立。それ以来、毎年同日は「ビットコインピザの日」と呼ばれるようになった。当時、ピザ一枚の購入のために支払われた1万BTCが現在価値でいくらになっているかを報告するツイッターアカウントもあるほどだ。ちなみに今日の時点で1万BTCは実に100億円以上の価値がある。

 今回、ハニエツ氏が支払ったのは649000サトシ(0.00649ビットコイン)で、ピザ2枚分約62ドルに相当する。

 ハニエツ氏はピザ代金を支払ったと証明する最良の方法は、自分のライトニングペイメントのハッシュのプリイメージの16進数文字列の最初と最後の4文字を、ドライバーに示すことだと考えた。もしドライバーの持っているハッシュと一致すれば、ピザを受け取ることができる。

 ハニエツ氏はピザを、ライトニング取引を成立させることができた場合にのみ授与される賞品のようなものだと考えたようだ。もしドライバーにプリイメージを示すことができなければ、「ピザは手渡されず、破壊されるだろう」。

 この実験は成功し、ハニエツ氏はピザを手に入れた。しかし同氏は、「プリイメージを共有するのは良いことではない」と付け加えた。

 ハニエツ氏の投稿には、彼が家族とピザを楽しんでいる数枚の写真へのリンクも掲載された。子供の1人が着ているシャツには「アイ・ラブ・ピザ」と書かれており、もう1人のシャツには「アイ・ラブ・ビットコイン」と書かれている。また、ピザの箱の正面には、プリイメージの一部が書かれたメモが写っている。

Laszlo Hanyecz

 報道によれば、今年1月20日、ライトニングネットワーク上で初めて物品の購入が記録された。ライトニングネットワークは、「セカンドレイヤー」ペイメントプロトコルの1つで、ビットコインの処理能力を拡大させるステップと見なされている。あるレディットのユーザーはその投稿で、TorGuardの提供するペイメントチャンネルを通してVPNルーターを購入したことを明かした。これは、オリジナルの「ピザの日」に匹敵する重要な出来事である。

 ハニエツ氏は、彼のライトニングBTC/ピザ取引の成功に関する投稿を、読者にこう問いかけて締めくくっている。「ところで、オンチェーン取引の代わりにこれ(ライトコインネットワークにおける支払い)を行う意義はあるだろうか? それはたぶんあまりないだろう」。

 「私の目的はc-ライトニングをちょっといじって、少額のサトシをやり取りする以上の何かをやってみることだけだった。おそらく最終的には、ピザ屋はそれぞれ自分のライトニングノードを持つことになるだろう。そうすれば私は、直接ピザ屋とのチャンネルを開くことができる」。