シルバーゲート、シリコンバレー銀行、そしてシグネチャー銀行と米銀行の破綻が相次いでいる。一連の出来事は、金融システムの構造的な問題から不況に陥った2008年のリーマンブラザーズを思い起こさせる。

根本的な要因は2008年当時と変わっていないかもしれない。ネットワーク・ステーツ創設者で元コインベースCTOのバラジ・スリニバサン氏はFRBによる金利の急激な引き上げが「SVBだけでなく数百の銀行のバランスシートにダメージを与えた」と分析する。多くの米銀行が米国債を買っており、それらは利上げの中で大きく価格が下げたのだ。

そして、仮想通貨はすぐに復活した。

SVBの影響で、USDCを発行するサークル社は、一時的に米ドルと1対1で連動しなくなった。サークル社の最高戦略責任者(CSO)のダンテ・ディスパーテ氏は、「仮想通貨が米銀行にリスクをもたらすというより、米銀行が仮想通貨に対してリスクをもたらしている」と指摘した。一連の破綻劇は、仮想通貨の問題ではなく、銀行の問題なのだ。

「グレート・デカップリング」到来か?

銀行の問題が明らかになる中、仮想通貨は力強い耐性を示した。ナスダックとS&P500が急落する中、ビットコインとイーサリアムは2桁%上昇した。年初来で見てみると、ビットコインは56%上昇しており、ナスダックの9.6%マイナスやS&P500の2%マイナスとは比べならないほど良いパフォーマンスを見せている。

デジタル資産と伝統的な株価はついに価格連動からお別れする時が来たのかもしれない。

ただ、デカップリングに対して懐疑的な人々もいる。ウェイブ・デジタル・アセッツのマネージングディレクターであるナウマン・シェイキ氏は、「相関関係はなくなってきておりトレーダーはデカップリングに注目しているが、まだ仮想通貨が上昇する理由を突き止められていないようだ」と述べた。

IntoTheBlockの相関係数によると、ビットコインとナスダックやS&P500との相関関係は最近上昇した。最近の一連の銀行破綻にも関わらず、伝統的な株価とデジタル資産の相関関係は未だに健在なようだ。

しかし、長期的にデカップリングが成立するかは今後の注目点だ。現在のメルトダウンがきっかけとなり、中央集権的な経済システムが崩壊、銀行システムへの信頼を失う人は少なくないだろう。

バラジ・スリニバサン氏は「中央銀行と銀行、規制当局が中立な審判だと思う人がまだいるようだが、すぐに彼らが自分のチームのためだけにプレイしていることに気づくだろう」と述べた。

銀行システムが弱まるにつれて、数百万人の人々が次第に分散化の価値に気づくだろう。その時、構造的なデカップリングが始まるかもしれない。
 

 

著者 Ledger

プロフィール:2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。公式サイト:https://www.ledger.com/ja