Facebookが会社名をMetaに変更してから約1年が経った。
当初からMeta社の株価は下落を続けており、メタバースに関する話題も少なくなってきている。
世界最大のソーシャルメディアによる方向転換は間違っていたのだろうか?
悪いニュースばかり
内部文書は信頼できるソースと考えられる。その一部によると、Metaのメタバースはユーザー獲得で苦戦しており、目標の半分ほどしか達成していない。Horizon Worldは28万ユーザーを獲得したが、50万ユーザーの目標には届いていない。そして、最初の月以降、多くのHorizonのユーザーがアプリに戻ってくることはないという。
一方、Meta社のソーシャルメディアの月間平均ユーザー数は35億人だ。Metaのメタバースが前途多難であることを示している。
メディアのMeta社に対する見方も厳しい。今週、フォーブスは、メタバースにおけるザッカーバーグの足がフェイクだったことを厳しく批判した。
厳しい状況はMeta社の決算にも表れている。Metaへの社名変更以降、Meta社の株価は60%以上も急落した。時価総額にしてほぼ1兆ドルが消えたことになる。株式市場の歴史において過去最大の下落幅だという。
エンジニア第1で顧客は第2?
サンドボックスやディセントラランドなどWeb3ネイティブのプレイヤーからは大胆な挑戦が続いているものの、多くの人が思い描く「メタバース」を誰も体験したことがないのが現状だろう。現在のところメタバースはバズワードに過ぎず、まだ現実のものとして認知されていないようだ。マーケティングにありがちなことだが、言葉は期待を上回る。Meta社はこの現実にも対応しなければならないだろう。
現実は完全体のメタバースがすぐには来ないということだ。ザッカーバーグはもちろん気づいている。なぜか?メタバース到来には大きな技術革新が必要だからだ。
Meta社のRealityラボのチーフ・サイエンティストであるMichael Abrashは、次世代メタバース到来には複数の技術的なブレークスルーが必要だと主張する。それらは画面、音声、手や目の追跡機能、センサー、グラフィック、アヴァターなどが含まれる。
つまり、次世代版のメタバースは単純な話ではないのだ。
上記のような技術革新のため、Meta社は120億ドルの投資をしている。これまではまだ成果は発表されていない。しかし、いつか身を結ぶ日が来るかもしれない。その時、Meta社はみんなが思い描くメタバースを技術的に可能にさせた企業としてリーダーとしてのポジションを確立するだろう。
もしMeta社の投資が成功と証明されたら、メタバースの領域において独占的な地位を築くことができるだろう。しかし時間がかかり過ぎれば、同社にとって過去最悪の悪夢になるかもしれない。
著者 Ledger
プロフィール:2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。公式サイト:https://www.ledger.com/ja