2025年第1四半期、非代替性トークン(NFT)の販売額は前年同期比で63%減少し、急激な落ち込みを見せた。それでも、一部の人気コレクションはこの下落局面を乗り越え、販売実績を伸ばしている。
データ集計サイトのクリプトスラムによれば、2025年1月から3月までのNFT総販売額は15億ドルとなり、2024年同時期の41億ドルから大きく減少した。中でも3月は最も厳しい月となり、販売額は前年同月の16億ドルから76%減の3億7300万ドルにまで落ち込んだ。
こうした市場環境にもかかわらず、「ドゥードゥルズ」、「ミレディメーカー」、「パギーペンギンズ」といったコレクションは、強いパフォーマンスを示している。
第1四半期のNFT不況に抗う銘柄
主要NFTコレクションの中では、「クリプトパンクス」の販売額が6000万ドルとなり、前年の1億1400万ドルから47%減少した。
一方、「ボア―ド・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)」はさらに大きな下落となり、販売額は2980万ドルで、2024年第1四半期の7800万ドルから61%の減少となった。
こうした中、最も高い販売額を記録したのが「パギーペンギンズ」である。2025年第1四半期の販売額は7200万ドルに達し、前年の6350万ドルから13%の増加となった。
「ドゥードゥルズ」も市場全体の下落に反して好調で、販売額は前年の2260万ドルから3200万ドルに増加した。これはマクドナルドとの提携を含む一般市場への進出が追い風になったとみられる。
また、「ミレディメーカー」は、上位コレクションの中で最も高い成長率を記録し、販売額は58%増加した。イーサリアムベースのこのアニメ風NFTプロジェクトは、ヴィタリック・ブテリン氏の支持を受けており、SNS上でも注目を集めている。
「ミレディメーカー」は、アニメ調のアバター1万体で構成されており、物議を醸したスリー・アローズ・キャピタル共同創業者のスー・チュー氏によるプロモーションも注目の要因となっている。
ビットコインNFT、販売額は減少も平均価格は上昇
NFT市場全体は縮小傾向にあるものの、ビットコインベースのNFTは平均価格が上昇した。販売総額は減少したものの、1トークンあたりの価格には上昇傾向が見られた。
DappRadarによれば、2025年第1四半期におけるビットコインNFTの平均価格は633.24ドルに達し、2023年の63.45ドル、2024年の559.05ドルから継続的に上昇している。
ただし、ビットコインベースのNFT全体の販売額は、2024年の14億ドルから2025年は2億9100万ドルにまで79%の大幅減となった。
コインテレグラフの過去のインタビューで、ビットレイヤー共同創業者のチャーリー・フー氏は、ビットコイン・オーディナルズについて「ビットコインエコシステムでもっとも過剰に評価されたストーリーの1つ」だと指摘していた。同氏は、かつては熱狂を呼んだこの資産クラスだが、すでにその時代は「完全に終わった」と述べている。