前財務官で近くアジア開発銀行(ADB)総裁に就任する浅川雅嗣氏は日経新聞のインタビューに答え、中国人民銀行が進めているデジタル人民元が世界に浸透した場合にドル基軸通貨とぶつかることはあり得ると話した。

デジタル人民元を一帯一路の参加国へ広める構想は「中期的な絵姿として可能性はある」と発言。強い中央集権的要素を持つデジタル人民元が世界に普及した場合にドルと衝突する可能性を指摘した。

自国の金融政策が信頼を失っている国からはデジタル人民元の利用が出てくると予想した。

一方で、浅川氏はデジタル人民元の当面の目的は「資本規制の強化」だと指摘。2014年から人民元の流出圧力が続く中で、人民銀が外国為替市場へ介入することで人民元の下落速度を調整しようとしたが、うまくいっていない。そのため、人民元のデジタル化によってレートの安定管理に役立てようとする意図があると話した。

フェイスブックの仮想通貨リブラについては、リブラが国家の介入なしに自由に発行できることから「通貨主権への挑戦」と捉え、政策当局者は今後も民間の経済活動と国家主権の衝突が生まれるという問題意識を持つべきだと話した。