株式取引所を運営しているナスダックがこのほど、24時間年中無休で効率的な証券担保のソリューションを提供する、ブロックチェーンを用いた概念実証(PoC)に成功したとリリースで発表した

 この新たなブロックチェーン・プラットフォームは、ナスダック、ABNアムロ・クリアリング、ユーロCCP、ユーロクリアが共同で開発したもので、株式取引所の取引時間終了後の追証請求の際に清算機関(CCP)が直面する問題への対処を目的としている。

 追証は、証券会社に信用口座を持っている投資家が、損失が生じた際の担保となる「維持証拠金」(最低限の残高)を満たすために追加の資金預け入れが必要になった時に請求される。ユーロCCPのダイアナ・チャンCEOによると、現行のシステムではグローバルな市場インフラによって、資本取引における取引相手先リスクの保護が「うまく機能していない」という。

 デリバティブの清算は欧州市場インフラ規則(EMIR)に全面順守した形で行わなければならず、清算の当事者とCCPは、取引時間後や複数のタイムゾーンにまたがった追証の請求と保証となる担保の引き渡しの際に「重大な」困難に直面している。

 リリースによると、この新たなブロックチェーンの概念実証は、「担保の送り手、担保の受け手、中間業者の間で共有された回復力の高いネットワークの構築が可能であることの実証」に成功し、当事者が「追証と証券担保の引き渡し、そしてその返却を数分で処理する」ことを可能にしたという。

 伝えられるところでは、ABNアムロ・クリアリングの財務及びSBL部門のグローバルリーダーであるクーン・ファン・ワルビーク氏は、この概念実証は「CCPモデルのブレイクスルー」だと述べ、ナスダックの清算部門のリーダーは、このプロジェクトはブロックチェーン技術の「あらゆる市場を変える高い潜在能力」を示す「素晴らしい実例」だと付け加えたという。

 この新たなブロックチェーン概念実証の開発でナスダックと提携したのは、世界有数の金融サービス企業だ。ユーロクリアは「28.6兆ユーロ」の顧客資産を持ち、ABNアムロ・クリアリングは1日に「1600万件を超える」取引を処理し、ほとんどのタイムゾーンで一貫して上位3社の清算機関に入っている。そしてユーロCCPは「欧州で最も接続が多いCCP」で、「26カ所の取引所で行われている資本取引の82%にアクセスできる」。

 ナスダックのアディナ・フリードマンCEOは今月、ブロックチェーン技術はスケーラビリティの改善を進める必要がまだあるが、将来的には未公開証券市場の「著しい非効率さ」に対処できる可能性があり、長期的には「破壊的なものになり得る魅力ある技術」だと述べた

 同CEOは4月、規制が透明化すれば、「間違いなくナスダックは徐々に仮想通貨取引所になることを検討するだろう」と述べた