マネックス仮想通貨研究所の所長である大槻奈那(おおつきなな)氏は24日、仮想通貨市場が終わっていない理由について、2014年のマウントゴックス事件以降の相場の動きと比較して解説した。

マネックス証券が主催した「令和から始める仮想通貨」オンラインセミナーに登場した大槻氏は、2014年のマウントゴックス巨額ビットコイン流出事件後のビットコイン価格と2017年に最高値をつけた後のビットコイン価格を比較した。

(出典:マネックス仮想通貨研究所)

2014年のマウントゴックス後は、色々なネガティブ報道があったせいもあり市場参加者からのビットコインや仮想通貨へのイメージは「地に落ちた」。ただ、2014年の急落(左のグラフ)は、右のグラフで言う所の丸で囲ってある部分に過ぎず、大槻氏は「市場の復活には3年くらいかかったが、一旦回復をした」と指摘し、次のように続けた。

「1つ言えるのは市場は繰り返すということ。ここから過去のような上昇があるかは色々な議論があるとは思うが、少なくとも『仮想通貨は終わったのか』という問いかけに対しては、『そうとは限らない』と去年から繰り返し言ってきた。」

その上で、2018年12月に付けたビットコインの3150ドル付近が今回の弱気相場の安値である可能性について、次のグラフを用いて解説した。

(出典:マネックス仮想通貨研究所)

大槻氏は、「とりわけ最初の動向が極めて似ている」と指摘。マウントゴックスの時は、当時の最高値のところから約8割減少したが、「今回もそこでピックアップしている」とし、「マウントゴックス時の底値」の形成過程と似ていると分析した。

「ここから底値割れをしないという根拠にはならないが、いくつか今の状況を考えると、底値の3150ドルは1つの抵抗線になると考えている。

このほか、状況が好転している要因として大槻氏は金融緩和を指摘。「金融緩和は一旦は諦めかけられていたが、3月20日にFOMCで金利の引き上げが見送られた。3月後半からのビットコイン価格の上昇は、このタイミングと一致する」と話した。大槻氏は、4月2日にビットコインが急騰した際にも、世界的な金融緩和路線への変更を一因にあげていた

今後の仮想通貨取引拡大の材料として大槻氏は、国際送金や地方創生などでのユースケースの拡大と安全性の向上などに注目している。