カナダ拠点の中東料理レストランチェーン「タヒニス レストラン」が19日、同社が保有する法定通貨全てをビットコインに転換することを決定したと発表した。同社は2020年3月に新型コロナウイルスの影響を受けて、外食を控える人々が増えたほか、政府の支援プログラムでお金が大量に出回りだしたことで「現金に魅力がなくなった」ことを理由としている。

タヒニスのオーナーであるオマル・ハマム氏は、パンデミックの中で米国とカナダの両政府が現金を大量に刷ったことで「突然、私たちは経済危機の中で、お金を多く持っている状態になった」と指摘。ただ、現在の金融状態は「演奏中のイス取りゲームのようなものだ。もし音楽が止まれば何人かが取り残されてしまう」と危機感を抱いたという。

ハマム氏は補助金とマネープリントによって法定通貨の切り下げが起きるのではないかと懸念していた。「現金には魅力がないことは明らかだった」とし、「結局、経済で現金がジャブジャブになると、現金の価値が下がってしまう」と考えるようになった。

「時間が経つにつれて、私は金融について学び、知識を増やそうとした。ビットコインのコミュニティではビットコインに没頭する前に少なくとも7回、ビットコインについて話を聞かなければならないと聞いていたが、確かにこれは100%正しい」

ハマム氏は上記のことから、セイフディーン・アモス氏の著書「ビットコインスタンダード(The Bitcoin Standard)」やストック・フローモデル(S2F)を提唱するPlanB氏の記事、モルガンクリークデジタル共同創業者の「ポンプ」こと、アンソニー・ポンプリアーノ氏など様々な人からの話を聞いたという。

その結果、会社の資産をビットコインに変えることにしたことについて「現金を貯めるよりもはるかに良い代替手段」との結論を得たハマム氏。今後はビットコインを「法定通貨の必要性が出なければ多分永遠に」積み立て資産として扱うと話している。

ビットコインの急速な普及

ビットコインへの投資は急速に拡大している。ナスダック上場のビジネスインテリジェンス企業マイクロストラテジー社はこのほど、21454BTC(約260億円)を購入した。同社もタヒニスと同様、ビットコインは価値の保存手段であり、潜在的な安全資産と認識しているという。

さらには「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社がこのほど金採掘企業バリック・ゴールドの株式を新たに取得したことを受けて、さらなるインフレ対策として、仮想通貨に投資するのではないかとの憶測も広まっている

ビットコインに切り替えたタヒニスの決断は仮想通貨コミュニティも大きく賛同している。

アンソニー・ポンプリアーノ氏はタヒニスレストランのツイートをリツイートし、「新たな企業がバランスシートの資本をビットコインに変えた」と褒め称えている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン