イーサリアムを基盤とする人気のセルフカストディ仮想通貨ウォレット「メタマスク」は、ウェブ拡張機能およびモバイルアプリのユーザーに向けて、セキュリティ警告を複数のブロックチェーンに拡大すると発表した。対象となるのはリネア、BNBチェーン、ポリゴン、アービトラム、オプティミズム、アバランチだ。

新たなセキュリティ機能は、ウォレットの利用者数が2022年のピークに近づく中で導入された。月間アクティブユーザーは2023年9月の1900万人から2024年1月には3000万人に増加。この利用者数の増加は、ロビンフッドのような主流の取引プラットフォームとのパートナーシップによるものとみられる。

セキュリティ警告機能は、2024年1月29日に拡張機能を通じてイーサリアムメインネットに初めて統合された。この警告機能は、既知の脅威とやり取りを行う際に、取引時にユーザーに警告する。この機能は要求された取引をシミュレートし、悪意のあるパターンを認識し、資金損失が予想される取引がある場合にユーザーにフラグを立てる。

Snapshot of security alert system. Source: Metamask

メタマスクによると、セキュリティ警告はプライバシーを重視しており、第三者にユーザーの取引データを共有して検証するWeb3ウォレットとは異なるという。

セキュリティ警告システムは2023年4月にオープンシーの警告として実験的にオプトイン形式で導入され、5億ドル相当の資産を守るのに役立った。この成功を受け、同社はメタマスクウォレットにも警告機能を拡張した。

セキュリティパートナーであるブロックエイドとの協力で開発されたこの機能は、過去には2023年9月の悪名高いフィッシング詐欺を回避するのに役立った。メタマスクによれば、ヴィタリック・ブテリン氏のX(旧ツイッター)アカウントがハッキングされた際、ブロックエイドのシステムはハッキングの24時間前に悪意のあるDAppを検出し、10万ドル相当の資産を守るのに寄与したという。アラートシステムは、ユニスワップ創設者ヘイデン・アダムのXアカウントが10月にハッキングされた際にもフラグを立てた。

メタマスクのシニアプロダクトマネージャー、バーバラ・ショルヒット氏によれば、この警告機能は昨年12月のレジャーコネクトキット事件でユーザー資産を守るのにも役立ったという。

「約100のフロントエンドDAppが侵害されたが、ブロックエイドによって提供されるセキュリティ警告をオプトインしたメタマスクユーザーは全員が守られ、盗まれると見積もられる約115万ドル相当の資産を守ることができた」とショルヒット氏はコインテレグラフに語った。

プライバシーを重視したセキュリティ警告に加え、メタマスクはコミュニティの教育にも取り組んでおり、詐欺を特定し検出する方法を学び、だまされないようにするための学習シミュレーションプラットフォームを提供している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン