マトリックスレポートのリサーチ責任者であるマーカス・ティーレン氏によれば、ミームコインの購入者はパワーボール(アメリカの宝くじ)の仮想通貨版をプレイしているという。多くの人々が「人生を変えるお金」を得るために「プレイ」しているが、ジャックポット(大当たり)を手にするのはほんの一部だけだと彼は語る。

過去1週間で、ミームコインは大きな復活を遂げた。ペペ(PEPE)やミレディ(LADYS)などの仮想通貨トークンは、ほとんどまたは全く利用可能な価値がないにもかかわらず、価格が驚異的に急騰している

ティーレン氏は、ミームコインの一部の購入者は宝くじに参加する人々と似たような存在であるとコインテレグラフに語る。「最下層の経済階級に属する大多数の人々が宝くじを買っていることについては数多くの研究が行われている。それが彼らが自身の経済状況を脱出するための方法だからだ」と彼は言い、さらに「宝くじに投機する人々は、稲妻のように速くお金を稼ぐことを試みており、それは仮想通貨と非常に似ている」と話す。

最近注目を集めたミームコインの一つがPEPEである。これは「カエルのペペ」というミームに便乗した仮想通貨だ。4月14日にローンチされ、わずか数週間後の5月5日には18.3億ドルの時価総額を達成した。

しかし、そのトークンの価格は急騰したのと同じくらい急速に急落し、CoinGeckoによると、ピーク時からわずか5日で57%下落し、現在の時価総額は10億ドルを大幅に下回っている。

Pepe token price since its launch on April 14. Source: CoinGecko

しかし、ミームコインを買うことの「エンターテイメント」要素を一蹴するべきではない。

ギャンブル依存症の専門家である臨床心理学者のアナスタシア・ホロニス博士は、若い投資家はミームコインの「楽しさ、エンターテイメント要素」により魅了される可能性が高いと考えている。

「多くの仮想通貨投資家は、コミュニティの一部になるためやエンターテイメントの価値からミームコインを購入するかもしれない」

しかし、投資から利益を得ることを望む多くの人々に対してホロニス博士は警告する。

PEPEのようなミームコインは楽しいかもしれないが、一般的には非常にリスクが高い投資であり、長期的には何の本質的価値も保持できなくなるだろう。投資家は本質的にその人気に賭けているが、これは投資に関与する原則を損なっている」と彼女は話す。

デジタル資産プラットフォーム「イールド・アップ」の最高投資責任者であるルーカス・キーリー氏は、ミームコインはビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ステーブルコインとは異なり、基本的な価値を持っていないと主張する。その価格はコミュニティのセンチメントなどの「恣意的な要素」によってのみ動き、「ほぼ予測不可能」だと彼は述べる。

「最も洗練されたモデルでさえも、明確なパターンを見つけることができなかった」とキーリー氏は言う。

プロとクジラもFOMOに陥る

ミームコインの予測不能さは、大きなリターンの機会がないことを意味するものではない。プロの投資家や「仮想通貨の大口投資家」がそれらを取引してきたし、これからもそうするだろう。

ブロックチェーン分析会社Lookonchainのデータによると、「Machi Big Brother」(元テック起業家であるジェフリー・ファン氏のオンラインペルソナ)は、過去数日間で合計73.4ETH(約13万7000ドル相当)のPEPEを購入した。

他の3人の大口投資家も5月9日に価格が下がった後にPEPEの購入を開始した

「価格が高額であれば、それは理にかなっている」とティーレン氏は語った。「もし突然多くのニュースや話題になるのであれば、これらの人々も投資する必要があると思うだろう」と彼は指摘する。

しかしながら、ティーレン氏は、開発チームが匿名で明確なロードマップがないPEPEのようなミームコインに投資する人々に警告する。

「課題は、他人より先を行き、勢いが落ちたら抜け出すことだ。これがリスキーな資産を取引する際に、ストップロスやストップを使用することが重要な理由だ」と彼は語る。

「ミームコインの土地では誰もが(売り抜けることを)試みている...問題は、誰が最終的に貧乏くじを引くことになるかだ」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン