1月20日、ニューハンプシャーの衆議員によって、州政府がビットコインによる税や手数料の支払いを採用するための法案である、HB552に対して264対74の票を投じられ否決した。2015年、この法案は未だ研究の余地があり、後日に投票を行うものとして提出された。

コインテレグラフは主な支援をした四人の議員(何年もビットコインの法案を通すために尽力してきた人達である)に話を伺った。そのうち三人は、共同スポンサーである―Eric Schleien議員(この法案の主なスポンサー)、Keith Ammon議員、James Spillane議員、そして前議員であるGeorge Lambert氏だ。

 

議員たちのビットコインとの出会い

Schleien議員やSpillane議員(選挙キャンペーン中、ビットコインによる寄付を受け付けた人物である)が最初にインターネット上のどこかでビットコインに関する記事を読んだのだという。

George Lambert氏は熱心なビットコインユーザーであり、ニューハンプシャーで一年に一度Free State Projectによって開かれるthe Porcupine Freedom Festivalで始めて、その名を聴いたのだという。

「私は1BTCが約3ドルだった頃にウェブホスティングを売りました。つまり、月5BTCの定期収入が現在あるということです」

 

Ammon議員もまた熱心なビットコインユーザーであり、まだIRCを使ってしかビットコインが買えなかった時代(ありとあらゆる取引所が生まれる前)から利用しており、彼もまたFree State Projectがスポンサーを務めていたLiberty Forumのカンファレンスのイベントでビットコインについて知り、現在のRippleネットワークの前駆体である、RipplePayについて当初はサイドディスカッションを行っていたのだという。

 

「当時、RipplePayは基本的に人々のIOUを追跡する中央集権型のネットワークでした。私にはわかりませんでした、理解が出来ませんでした。システムを乗っ取るのはとても簡単に思えたからです。ですから私はルーム内の他の参加者へ追いつくと、様々な集まりで後にお互い顔を合わせることになるような、熱い議論を交わし続けました。{数学教授であり早期ビットコイン利用者である}Darren Tapp氏も参加者の一人で、彼がビットコインについて情報を仕入れ、私にディスカッションに参加しないかと誘ってくれたのです。私はビットコインについて調べに調べました。そして愕然としました。全てが完璧に理にかなっていたのです。その時から私はずっとビットコイン愛好家です」

 

ニューハンプシャー州におけるビットコイン受け入れのための試み

Schleien議員はニューハンプシャー州での税金の支払いや手数料などをビットコインなどのサードパーティの支払い方式で行えるようHB552の議案を提出した。曰く―

 

「単純に、税金を支払う際に、クレジットカードを利用するよりもセキュアにより安く利用できるということと、州にとって一切コストがかからないという点がとても理にかなっていたのです。私が法案に制約を作成したことで、ニューハンプシャー州では、コストがかかる場合企業と政府とが提携することはありません」

 

Spillane議員は立法に共同スポンサーとして携わっただけでなく、投票前にディベートの場を組織し、議員としての任期中にビットコインに関連する複数の法案を提案したのに加え、任期終了後もHB552を含む同様の法案に賛成であると証言している。Ammon議員も共同スポンサーとして法案に携わり、委員会にビットコインを利用するメリットを提言しているが、”法案を可決させるためにあまり強く推すようなことはしていない”とも述べている。

「我が州において象徴的な法案だったと言えると思います。私はあまり多くの人がビットコインで税金を支払うとは思っていませんでした。しかし、一部では、投資家に対して、ニューハンプシャー州は技術的に発展している州である、というメッセージにはなったと思います」

 

議会においてほとんどの人がビットコインを無視している

Lambert氏曰く、ニューハンプシャーの衆議員400人のうち、40%から60%しかビットコインについて理解していないという。Spillane議員も似たように見積もっていて、HB552の後、約60%(240名)が少なくとも言葉として認識はし出しているとは述べたものの、約75%がまだビットコインが何であるか理解していないのだそうだ。Ammon議員は同意した上で、次のように述べている―

「多くの人がいまだにビットコインがインターネットにおけるまやかしのお金であるとして、その」裏に隠れた真意を理解していません。年老いた議員たちが頭を抱える様を見るのは少し楽しくもあります。人間という生き物は、困惑した際には、全くもって様々な表情を見せてくれるものです」

 

ビットコイン採用までの壁

Spillane議員は、多くの議員がビットコインという概念を理解できないせいでビットコインを採用するための大きな壁になっていると憂慮しています。

「我々はいまだ国務長官のビジネスオフィスで、クレジットカードを採用してくれと泣き叫んでいるような有様です」

 

Schleien議員も、ビットコイン法案に対する働きかけが無視されているため障壁でしかなく、恐怖すら感じると、同意しています。

 

「心理状態というものは往々にして失敗への恐怖から左右されるものです。今回のこの一見も、仕組みが理解できないから失敗するかもしれないという恐怖から来るものです。いかに他の議員を教育するかが鍵になってくると思います」

 

政府が関与しない点が鍵

Lambert氏は、ニューハンプシャー州によるビットコイン採用が何故難しいのか、別の見方を持っている。彼曰く、「彼ら(政府)が人々を守ることを放棄しているのではなく、その術がわからないのだということを理解することが鍵」なのだという。

Ammon議員はビットコインに関して、より非政府的な立場を取り始めている。法案を可決させるための正しい道のりが分らないと彼は述べている。

 

「現実的には、ビットコインとブロックチェーンという技術は、政府を無効化してしまう可能性を秘めています。いつかビットコインやブロックチェーンがどれだけ強力な発明なのかと政府が気づいてしまう日が訪れれば、時間をかけてゆっくりとビットコインに対して政府は敵対していくはずです」

 

ビットコインの分散型というその特徴柄、Ammon議員は政府がビットコインを歓迎するしないにかかわらず、継続的に採用されることを願っている。一度箱の中から飛び出した精霊を再び元に戻するのは難しいからだ。

「他の取柄といえば、大半の議員が技術的に精通しているとは到底言えない、という点です。ですから、技術にレギュレーションをかけるとなると、彼らはいつも巻き返しを図ろうと必死になります。望むらくは、暗号通貨に精通したアナーキストたちが苦しい立法のこの現状よりも一歩先を常にリードし続け、この新しいテクノロジーがそのポテンシャルを完全に発揮するまで常に先を歩んでいてほしい、ということです」