仮想通貨(暗号資産)ビットコイン(BTC)価格は10500ドルのレジスタンスを超えて、10600ドルを推移している。しかし、直上には11000ドルの大きなレジスタンスがあることから、9月3日以来、ボラティリティが低くなっている。今後しばらくは、ボラティリティが低水準で推移するかもしれない。
ボラティリティを低くしている要因は、先物市場の建玉が減少していることと、スポット市場の出来高が停滞していることが挙げられるだろう。
低い出来高や建玉、ビットコインの大きなレジスタンス
テクニカル的にみて、ビットコインは以前に重要なレジスタンスとして機能していた10570ドルより上に位置している。しかし、11000ドルから11288ドルのレンジのレジスタンスが上昇のために障害となっているようだ。
(出典:トレーディングビュー「ビットコインの日足チャート」)
建玉と出来高が低水準となっていることは、11000ドルの主要なレジスタンスと合わさって、ビットコインのボラティリティが低くなっている原因だ。
ビットコイン先物の建玉は先月の57億ドルから38億ドルに減少している。仮想通貨データ提供企業のスキュー(Skew)によると、市場全てのロングとショートポジションの建玉は停滞したままだ。
ビットコインのスポット取引量も同様の傾向を示している。取引量は8月のほとんどの期間で5億ドルを下回ったままだった。
(出典:Skew「ビットコイン先物の建玉」)
ビットコインはトレーダーが、一般的に楽観視している10500ドルを上抜けた。しかし、前述したようなレジスタンスがあるために、短期的に大きな値動きを期待するのは時期尚早かもしれない。
ビットコインが10500ドルから10600ドルのレンジをサポートとして取り戻すと、10500ドルから11000ドルの間に新たなレンジが形成される。
歴史的にビットコインは大きな上昇の後に長期的な蓄積期間と調整が行われてきた。調整期間では先物やオプション市場が無効化し、次の上昇に向けた基盤が強化される。
トレーダーは何と言っている?
一方で「The Crypto Monk」の偽名を持つトレーダーは、ビットコインの週足チャートが中立的なトレンドを示していると指摘した。
(出典:The Crypto Monk「ビットコインの週足チャート」)
The Crypto Monkはビットコインの1万ドルからの反発と、短期的な11000ドルのレジスタンスについて、次のように説明している。
「ビットコインは『ニュートラル』なロウソク足で今週をクローズしている。しかし、ショートを開始して弱気になるにはまだ最適な時期ではない。11000ドルの再テストがあるだろう」
仮想通貨デリバティブトレーダーのカンタリング・クラーク氏はビットコインが歴史的に重要なサポートを取り戻したことを強調している。
「もし高値からの20%のプルバックの後に売りをしていた場合、後悔することだろう。最初のテストで何年も待ち望んでいた、最も重要なサポートとレジスタンスが入れ替わったからだ。コンテクストが全てだ」
FRBの動きはどうなる?
しかし、近くボラティリティを高める可能性を持つ変数の一つは、次回の米連邦準備制度理事会(FRB)の会合だ。
楽天的な雇用統計が発表された場合に、市場は下落する傾向があるが、これはFRBが引き締めを行うのではないかとの懸念からだ。今回はFRBが緩和的な金融環境を維持する可能性が高く、これが株式市場とビットコインの両方に利益をもたらす可能性があるだろう。
ストック・フローモデル(S2F)指標の考案者であるPlanB氏は、指標通りに行けば、ビットコインはまもなく大規模な上昇が始まると予想している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン