世界的にクレジットカード決済のサービスを提供する大企業であるマスターカードが、非代替性トークン(NFT)のマーケットプレイスおよびWeb3において同社のカードを利用できる範囲を拡大するという。

マスターカードの発表によれば、同社はこの1年間に自社のカード決済ネットワークを拡大してNFTに対応させるための取り組みを行ってきたという。29億人のカード利用者が仮想通貨を買わずとも直接NFTを購入できるようにするために、マスターカードは主要なNFTマーケットプレイスの幾つかと提携を結んだ。

現時点でカード利用者は、NFTに入札し、購入するためにも、まずは仮想通貨を買う必要がある。しかし、今回の提携により、何十億ものカード利用者が仮想通貨を購入して、それをNFTマーケットプレイスへと移すというプロセスを行わずに済むようになる。マスターカードは次のように述べている。

「マーケットプレイスへとカード決済を統合することで、仮想通貨の入手をより容易くすると同時に、NFTのエコシステムが成長し、イノベーションを起こし、更に多くの利用者を獲得し続けるための手助けをすることが狙いだ」

マスターカードは、イミュータブルX(Immutable X)、キャンディ・デジタル(Candy Digital)、ザ・サンドボックス(The Sandbox)、ミンタブル(Mintable)、スプリング(Spring)、ニフティ・ゲートウェイ(Nifty Gateway)といった複数のNFTマーケットプレイスや、Web3インフラストラクチャーの提供企業であるムーンペイ(MoonPay)などと提携したと声明を出している。

マスターカードがカード決済によるNFT購入サービスを初めて提供開始したのは今年の1月のことだ。コインベース(Coinbase)と提携を結んだマスターカードは、利用者が自身のカードで直接NFTを購入できるようにしている。

マスターカードが自社のカード決済ネットワークを急成長中のNFTのエコシステムへと拡大させる決断をした背景には、同社が最近行った調査の存在もある。40か国、35000人を対象としたこの調査では、回答者のうち45パーセントがNFTを購入したことがあるか、購入を検討していることが判明している。また、調査の対象となった消費者のうち50パーセントが、NFTを買うための柔軟な選択肢がより多くあれば良いだろうと回答している。

また、マスターカードはNFTを購入する際に世界レベルのセキュリティを利用者へと提供するための取り組みも行っていると述べている。「店舗やオンラインでマスターカードを使って買い物をする時」と同様のセキュリティを提供するという。

この数年間、マスターカードは仮想通貨およびNFTの市場へと強い関心を示してきた。今年の4月には、マスターカードはメタバースやNFTに関連した商標を15件申請している