Mastercardが、暗号通貨利用者に対する返金サービスに関する技術の特許出願を行っている。「情報取引基盤」と題された特許には、同社が上記の機能を実現するための可能な手段を模索するための詳細が示されている。
8月3日に提出された申請書によれば、開発者は前MastercardシニアアナリストのVladimir Goloschuk氏だったようだ。

重要な点

米国特許商標庁が公表している公式文書によれば、同サービスはユーザーの個人情報を任意の仮想通貨のアドレスへ紐づけた上で認証を可能にするためのインフラの構築を目指しているようだ。その仕組みの一例が以下のように示されている―

「一般的なAさんからBさんへ、といった暗号通貨の決済や取引は次のように行われます。Bさんが新しいアドレスを暗号通貨取引用のクライアントを利用して生成し、そのアドレスを支払先としてAさんに提示します。AさんはAさんの利用する暗号通貨取引用クライアントを使い、Bさんによって提示されたアドレスへ、任意の支払元のアドレスを使って決済を行います―これは、秘密鍵を利用してトランザクションに署名することで行われます。そして、秘密鍵に対応した公開鍵自体が口座番号の役割を果たし、BさんのアドレスにAさんによって送信されたということを立証するために利用されます」

そして、Mastercardが提示しているシステムは、決済取引における払い戻しのプロセスを可能にするのが目的だ。
現在のシステムでは、支払い時に利用した購入者のアドレスへ返金が行われなければならない。Mastercardは利用者が指定した任意のアドレスへ払い戻しが可能なサービスの構築を目指しているようだ―

「Aさんの秘密鍵は、Bさんには渡されることはありませんが、Aさんの公開鍵はBさんに渡ります。こうした暗号通貨における典型的なアプローチは、実は効率的な払い戻しのためのメカニズムに向いているのです」

特許申請合戦に参加している企業はMastercardだけではない。事実、バンクオブアメリカやゴールドマンサックスなどの大企業から、2017年の第一四半期で多くの特許が米国特許商標庁に申請され、未だ未承認のものが多く存在している。