分散型金融(DeFi)の筆頭であるMakerDAO(メーカーダオ:MKR)にロックされている担保資産の総額が10億ドルを超え、過去最高となったことがわかった。

Defiパルスのデータによると、7月22日ごろから急騰したことがわかる。

Total Value Locked (USD) in Maker

(出典:Defiパルス「メーカーにロックされている総額(USD)」)


今回上昇は、MakerDAOによって作成されたステーブルコイン「ダイ(Dai)」の担保資産とされるイーサ(ETH)の急激な価格上昇に伴うものだ。7月22日以降、メーカーにロックされているETHは約13%上昇した。

メーカーコミュニティは7月17日と20日にETHの「債務上限」を引き上げる2つの提案に投票。これらによってメーカーの供給量が増加し、ETHの担保によって新規発行が可能なDaiの総量は1億6000万から2億2000万に押し上げられた。

Daistats.comによると、すでに2億1300万DaiがETHで発行されているため、引き上げ分はほぼ上限に近くなっている。

Daiは、ユーザーがイーサリアム(ETH)あるいは他のERC-20トークンを担保とすることで最大で担保の3分の2の価値をもつステーブルコイン。価値は米ドルと連動している。

需要はどこから?

7月2日頃からDaiは分散型金融のCOMPトークンのイールドファーミングに適した資産となった。コインテレグラフが報じたように、DAIの供給総額が2億ドルに達したにも関わらず、一時はコンパウンドで8億ドル以上のDAIの借り入れがあったことがわかっている

この数字の食い違いは繰り返し行われる借り入れによるものだ。COMPのユーザーはコンパウンドにDAIを供給し、その後、トークンの75%を借り入れ、再び供給する。このプロセスを繰り返すことで、約3倍のレバレッジが発生し、その過程でコンパウンドのバリューがロックされる。

このレバレッジの過程が終わると、市場価格に影響を与えることなくDAIをより多く得るため唯一の方法は新規発行のみとなる。メーカーの借入金利が0%のETHは現在、最も効率的な資産と言える。全ての新規発行のDAIがコンパウンドのためだけに発行されたとは考えにくいものの、メーカーの最大の目的の一つとなっていることは間違いないだろう。

コンパウンドにロックされているDAIの総量は現在1億3960万ドル。そのほかの主要なDeFiプロジェクトの流動性プールは2300万ドルとなっている。

DeFi関連では、分散型ブラウザ「ブレイブ」の独自トークンBATも取引高が増加した。

フリップサイド・クリプトによると、6月のBAT価格上昇と取引高増加は、別の分散型金融(DeFi)プロジェクトであるコンパウンドが関連している。

フリップサイドのデータによると、コンパウンドではBATのようなトークンは貸し手と借り手にとって30%という高い金利を持っているため、これがBATの取引急増の理由だったという。7月2日にコンパウンドでCOMPトークンの配布方法が変更された後、この動きは収まったという。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン