リヒテンシュタイン首相、ブロックチェーン法やICOについて語る

 リヒテンシュタインのアドリアン・ハスラー首相はブロックチェーン技術が様々な分野に影響をもたらすことを確信しており、ブロックチェーンを用いた事業のための法的基盤を構築するのに必要な基本要件を提供するための新しいブロックチェーン法を用意している

 このブロックチェーン法は今年度3月21日に開かれた財政フォーラムにて、アドリアン・ハスラー首相が発表した。ハスラー首相によれば、この新しい法令によって現在のビジネスモデルを統合する規則を設け、企業と顧客に法的な基盤をもたらすことが目的という。この法令は今年の夏にも議会で議論するために提出されると見られている。

 コインテレグラフはブロックチェーンの法整備、ブロックチェーンと仮想通貨に関する政治的動き、ICO、そしてリヒテンシュタインのビジネス環境について首相にインタビューした。

リヒテンシュタインのブロックチェーンに関する法律について

 コインテレグラフ: 財政フォーラムでのスピーチで首相は新しいブロックチェーン法について話された。この新しい法整備の何が新しいのか?

 アドリアン・ハスラー首相: 私たちはブロックチェーン技術は今よりずっと発展する大きな可能性があると考えている。この法律はそうしたトークン経済の法的基盤となるように設計されている。そうすることですべての人に法的な確かさを与え、全体的に更なるポジティブな発展を(この分野が)遂げると考えている。

ブロックチェーンは支払いのやり取りに限らず、さらに大きな財政的ソリューション、産業でのユースケース、一般的な適用など、経済における様々な場面で重要な基盤としての役割を果たすことができる。

 CT: そうした法令が実施された場合、ブロックチェーン企業や一般市民にとってどのような意味合いを持つのか?どのような利益が得られるのか?

 AH: 将来的にはブロックチェーンのシステムにより多くの権利や資産を組み込むことを考えている。例えば、こうした効率的な取引システムを効果的に活用するためにも、現実世界との法的に保証された繋がりは必要だ。これは国による取り締まりで実現しようと試みている。こうすることでブロックチェーン企業と市民にとって大切な信頼が生み出せる。

 CT: なぜリヒテンシュタインはブロックチェーンに関心を持つのか?

 AH: 私たちは過去にもブロックチェーンに関連する可能性とリスクに関わって来た。経済部門、とりわけ金融部門にとって、これはチャンスでもあれば挑戦でもあるということは承知している。だからこそ、実際にリヒテンシュタインの政府と当局がブロックチェーンの導入による影響にしっかりと対処し、公正かつ競争を促すような形で企業をサポートできるようになることが重要だ。リヒテンシュタインはブロックチェーンの発展に国として積極的に関わる方針だ。

仮想通貨の未来について

 CT: ブロックチェーンと仮想通貨の未来については楽観的か?

 AH: グローバル志向で、知識が豊富で、優秀な多くの人材がブロックチェーン技術の発展に携わっているのを私たちは知っている。ブロックチェーンはこれからも長期的に目覚ましい発展を遂げるだろう。今はまだその序章に過ぎない。私にとって、仮想通貨はトークンを基盤とした経済で実現しうるブロックチェーンのユースケースのほんの一例にしか過ぎない。支払いのやり取り、支払いの法的手段である安定した通貨、そして自立的な仮想通貨との間には線引きをしなければならないだろう。

 トークン経済においては支払いはブロックチェーンを通して行われることはいうまでもない。こうした文脈において、法的通貨と繋がりのある安定したコインが重要な役割を持つと考えられるだろう。仮想通貨は、広く一般に受け入れられさえすれば、重要な役割を担うようになるだろう。

 CT: リヒテンシュタインの市民はブロックチェーンに関するプロジェクトや仮想通貨への需要に関心を持っているか?

 AH: リヒテンシュタインにはブロックチェーン関連のプロジェクトや仮想通貨に多大な関心を持つ層が比較的多くいる。だが、特に知識のない人にとっては、そうした投資によるリスクを正確に見積もることは少し難しいようだ。仮想通貨のICOに参加することだけでも非常に難しいことがある。このため、投資をより簡単にするための金融商品が次々と市場で登場している。だが、こうした商品は現在のところ必要条件を満たした投資家しか使用できない。

 CT: リヒテンシュタインの家族経営の銀行であるバンク・フリックは仮想通貨への直接投資を許可している。伝統的なバンキングの代替案としての仮想通貨バンキングというアイデアを支持するか?

 AH: 仮想通貨バンキングと伝統的なバンキングが互いに矛盾するものだとはまったく思わない私はむしろ金融部門へとブロックチェーン技術と仮想通貨が統合されることを期待している。ブロックチェーン上の伝統的な金融部門の投資家のための高度な基準と法的安全性をもたらすものであるから、こうした発展が進むことは大変好ましい。もちろん、仮想通貨世界の利点が可能な限り維持されるようにしなければならないが。

 CT: 自分でも仮想通貨を取り扱ったり、ブロックチェーンのプロジェクトに投資をしたりしているか?

 AH: していない。政府の長として、そうしたことに関しては控えている。

ICOのロケーションとしてのリヒテンシュタインについて

 CT: リヒテンシュタインは多くのICOが行われる場所となっている。その理由は何か?

 AH: 大きな理由の1つは当局と政府のオープンさだ。新しい技術を受け入れ、それをいかに活用するかについての知識を常にアップデートしている。即座に対応できることは企業としても重要なことだ。リヒテンシュタインの金融市場庁(FMA)との会合も比較的早く設定することができる。さらに、私たちはFMAに規制当局の検査機関というものを設置しており、これがイノベイティブな企業との接点として一役買っている。特にフィンテックやブロックチェーンの企業はこの機関を頻繁に利用しているようだ。

 CT: リヒテンシュタインはEUの規則も適用されているが、それはイノベイティブなICOをさらに促進しているか、それとも阻害しているか?

 AH: リヒテンシュタインはヨーロッパのエコシステムの一員であり、その金融サービスエリア内においてはEUのすべての規則を遵守する。だからこそ、リヒテンシュタインの企業は「EUパス」、すなわちヨーロッパ市場へのアクセスという恩恵を得ることができる。だが、経験からいって、金融市場に関する法律が関係するかどうかは、各ICOに固有のデザインによって異なる。私の知る限り、リヒテンシュタインのICOの多くはすでに金融市場のルールの枠組みに則って実施されている。