自律分散型組織(DAO)は中央集権的な組織構造をもたず、コミュニティが集団で所有し、意思決定プロセスに貢献するようにボトムアップ方式で機能することを意図されている。しかし、最近の研究データは、DAOが意図されたほど分散化されていないことを示唆している。

チェイナリシスがこのほど発表したレポートでは、10の主要なDAOプロジェクトを分析した。平均して全保有者の1%未満の割合に90%の議決権が集中していることが判明した。この結果は、少数の人々に意思決定権が過度に集中していることを浮き彫りにしている。

このような意思決定権の集中は、ソラナ(SOL)ベースのレンディングDAO「Solend」でも顕著だった。Solendチームは、弱気市場の影響でプロジェクト全体に清算が連鎖するのを避けるため、クジラ(大口投資家)のアカウントを乗っ取り、店頭(OTC)デスクを通じて自ら清算を実行しようとした。

買収の提案は110万票の賛成票に対して3万票の反対票で可決されたが、この総賛成票のうち100万票はガバナンストークンを大量に保有する一人のユーザーからのものであった。その後、激しい反発を受け、この投票は覆された。

チェイナリシスのレポートでは、ガバナンストークン保有者は全員投票権を持っているものの、コミュニティに対して新しい提案を行い、それを通すために必要なトークン数を考えると、公平に行われることは簡単ではないことが強調されている。

DAOのプロジェクトシェアを金融資産割合で見ると、分散型金融(DeFi)は83%を占め、プロジェクト数では全DAOの33%を占めている。DeFi以外では、ベンチャーキャピタル、インフラ、NFT(ノンファンジブルトークン)などがDAOで形成されている。