ブロックチェーン企業のレイヤーX(LayerX)の研究開発組織レイヤーXラボは28日、東京工業大学の首藤一幸研究室と協力し、コンセンサスアルゴリズムの共同研究を行うと発表した。首藤研究室が開発するブロックチェーンネットワークを可視化するソフトウェア「SimBlock」を活用し、イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)向けプロトコルである「キャスパー(Casper)」などのコンセンサスアルゴリズムの安全性や性能の分析を行う。
今回の提携はレイヤーXが大学と共同研究する初めての事例となる。
キャスパーはPoSの中でも「懲罰」の仕組みを持っていることでPoSの弱点を克服しようとするものだ。現在はまだメインネットで使われた実績がないことから、セキュリティの難易度が高いとされるパブリックブロックチェーンの環境で問題なく制御できるかの検証が課題となっている。
こうした課題に対して、レイヤーXは首藤研究室と協力。同研究室が開発したSimBlockはブロックチェーンのP2Pネットワークとコンセンサスアルゴリズムの関係性を分析することに強みがある。これまでにビットコインのコンセンサスの研究で実績をあげているものだ。
一方で、2020年8月に立ち上がったレイヤーXラボは研究テーマの一つとしてパブリックチェーンに取り組んでいる。これまでにもプライバシー技術である「Zerochain」「Anonify」といったソフトウェアの開発や、スケーラビリティ問題の解決のためのシャーディング技術に関する学術論文の執筆を行なっている。
同ラボの中村龍矢所長はコインテレグラフに対し、「Ethereum 2.0はいくつもの要素技術やプロトコルが集まった、非常に複雑で大きなシステムですので、セキュリティに関しては様々な観点から分析・検証する余地があります。今回の共同研究により、Ethereum 2.0のコンセンサスアルゴリズムの特徴が深く理解されることに貢献できると思いますし、新たな課題や改善点が見つかれば、コミュニティに積極的に提案したいと考えています。」とコメント。
さらに今後の展望として、次のように話した。
「LayerX Labsの他の二つの注力テーマである、デジタル通貨やスマートシティ分野でもこういった共同研究に取り組めればと思っています。」