米国の仮想通貨取引所クラーケンが9月16日、西部のワイオミング州で銀行設立に向けて動き出していると発表した。クラーケンによると、世界初の仮想通貨企業による銀行になる。
クラーケンは、ワイオミング州からSPID(特別目的委託銀行機関, Special Purpose Depository Institution)設立の認可を受けた。米連邦政府と州政府から銀行業の承認を受けたことになり、米国の銀行としても初めて包括的にデジタル資産のための出入金やカストディ(資産管理)、信託サービスを行うことになるという。
クラーケンの銀行は、「クラーケン・フィナンシャル」と呼ばれる。顧客は、仮想通貨での請求書支払いや仮想通貨での給料受け取りやデジタル資産の投資ポートフォーリオへの組み込みができるようになる。
銀行設立の狙いは、デジタル資産と法定通貨の円滑な取引を可能にすることだ。歴史的に仮想通貨企業に銀行サービスを提供する伝統的な銀行は少ないのが現状だ。
今年5月、JPモルガンチェースが仮想通貨取引所のコインベースとジェミナイを顧客に抱えていることがウォール・ストリート・ジャーナルの報道で明らかになっていた。コインベースとジェミナイの口座が承認されたのは4月で仮想通貨業界からは初めての顧客だったという。
仮想通貨メディアDecryptによると、クラーケン・フィナンシャルは今年の年末にサービス開始を予定しているが、来年の初頭にずれ込む可能性が高いという。
ワイオミング州と仮想通貨
ワイオミング州は仮想通貨業界に友好的な州として知られている。
今年4月には州内の保険会社がビットコインのようなデジタル資産に投資できるように法改正を行なった。また昨年2月には仮想通貨関連ビジネスの発達のため、同州議会が3つの関連法案を可決した。