著者 クラーケン・インテリジェンス

クラーケン・インテリジェンス(Kraken Intelligence)は、クラーケンのリサーチ・チームであり、事実とデータに基づく仮想通貨関連の本質的で実用的なレポートの配信を目指している。伝統的な金融市場と仮想通貨市場の双方での知見を活かし、毎日の相場分析メモであるOTC Dailyや月間レポートなどで、最新の業界動向についてコンテンツを生み出している。

仮想通貨市場は3日続落。ビットコインは一時約1ヵ月半ぶりに4万ドルを下回った。何が起きているのだろうか?

まず最初に思い出さなければいけないのは、9月は歴史的にビットコインにとって最悪の月ということだ。2011年以降、9月のビットコインの平均リターンはマイナス7%だ。

ビットコインのリターン(月ごと) 出典:Kraken Intelligence’s OTC Daily

低調な9月という季節に加えて、現在、中国の恒大集団の破綻危機、米国債務上限の引き上げ交渉の難航、そして米公証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長による仮想通貨取引所への規制強化スタンスという3つの悩みの種がある。仮想通貨市場関係者が警戒するのも無理はないだろう。

仮想通貨にとって長期的なマイナス要因となるのかは未知数だが、以下の3つのことは確かだろう。

・中国政府が恒大集団を救済しないとしても、2008年の金融危機ほど世界のマーケットに影響を与えない。
・米国政府は、債務不履行という最悪の事態を避けるために、歴史的に債務上限の引き上げで合意してきた。
・ゲンスラー委員長は、アンチ仮想通貨ではない。ワシントン・ポストとのインタビューの中で、「マサチューセッツ工科大学(MIT)で数年間仮想通貨を研究して教えてきた。面白くなかったり革新的でないと思ったなら、そこまで時間は費やさなかっただろう。ただ同時に、この技術が政策フレームワークの範囲外で野放しになり続けるとは思えなかった」と発言した。

9月の季節性と上記のような逆風が2021年第4四半期になっても続くかは分からない。仮想通貨マーケットも伝統的な金融マーケットも、投資家が耐えられないほど不合理な動きを続ける可能性もあるだろう。現在、株などリスク資産に対するビットコインの相関関係は高くなっている。株安のビットコインへの波及は警戒する必要があるかもしれない。

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本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。