慶応大学が就職活動にブロックチェーンを活用する。学生の情報を暗号化技術によって守り、企業が勝手に情報を持ち出せない仕組みを構築する。就活サイト「リクナビ」が内定辞退率を無断で販売した問題から、データの利用に敏感な学生が増加していることを受けた動きだ。日経新聞が11日、報じた。

日経新聞によると、就活で学生と企業のやりとりにブロックチェーンを用いるのは初めての試みという。

慶応大学が開発するソフトを使えば、学生は企業ごとに情報を渡す範囲や期間を選べるようになるという。大学側は学生を採用する企業にも参画を呼びかけ、すでに三菱UFJ銀行やSOMPOホールディングス、住友生命保険の3社が決定。2020年内に20社まで広げる計画だ。

開発には採用活動スタートアップのインスティチューション・フォー・ア・グローバル・ソサエティー(IGS)が担当する。3年間は実証実験期間とし、初年度に慶応大学の学生5000人の利用を目指す。慶応大学だけでなく他大学での参加も呼びかけていくという。

今回の計画は、慶応大学経済学部でフィンテックを研究する「フィンテックセンター」がリクナビ問題を受けて、就活に利用するように始めた。

日経新聞は今回の取り組みは、注目を集める「ジョブ型雇用」に役立つ可能性を指摘。ブロックチェーンを使うことで情報を安全に取り扱うことができ、学生は授業の発言内容や、課外活動のデータを発信しやすくなるとしている。企業側も第三者の評価を盛り込めることで、就活生のデータをより詳しく知ることでできるようになる。