金融庁 仮想通貨研究会:業界団体の自主規制の詳細が判明、レバレッジ上限4倍や匿名通貨禁止

 金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」の第5回会合が12日に開催された。今回の会合では、仮想通貨交換業者で組織する「日本仮想通貨交換業協会」の自主規制の概要や、金融庁への企業の申請状況などが明らかになった。

 仮想通貨交換業協会の奥山泰全会長が、同協会が7月30日に決議した暫定的な自主規制規則の概要について説明。レバレッジ取引の証拠金倍率の水準を4倍とする(1年間の暫定措置あり)ほか、匿名通貨禁止、アフィリエイト広告やSNS利用の規制、情報開示ルール、苦情処理対応など、内容は多岐にわたる。またイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する自主規制も今後検討していくとしている。

 今回の自主規制は、金融商品取引法などを参考にし、ハードフォークといった仮想通貨特有のリスクを踏まえつつ、策定したという。リスク管理態勢やガバナンス強化、不適切な営業方法の是正といった課題を自主規制で解決していく考えだ。デリバティブ取引やウォレットサービスなど、仮想通貨交換業者が手掛ける近接業務についても対応する。

 交換業協会は8月2日に「認定自主規制団体」となるための申請を金融庁に提出済。自主規制は、認定取得に先駆け、早期に施行する考えだ。

 まず今年10月から20人程度の人員で事務局の業務を開始する予定だ。現在は登録業者のみで組織しているが、将来的には申請中の企業なども会員として受け入れたいとしている。また奥山会長は、組織の独立性を確保するため、将来的には外部有識者にも協会の役職員に就任してもらう考えを示した。

 

金融庁側の現状説明

 金融庁側は、これまでの対応や現状について研究会で説明した。金融庁によれば、仮想通貨交換業へ新規参入の意向を示している企業は、上場企業を含め160社超にのぼる。ただ企業ごとに濃淡はあり、既に具体的な書類を提出しているものから、当局に照会している段階まで様々。

 金融庁側は「夏以前は検査優先で人的リソースが割けず、審査がスローダウンしていたのは事実」と説明。現在は申請企業とのコンタクトを再開し、照会作業を進めているいう。また国内でのICOの実態把握・モニタリングも併せて進めているとしている。

今後の研究会の議論は

 今後の研究会だが、法規制の整備の在りのに議論を進めていく形になりそうだ。

 座長を務める神田秀樹・学習院大教授は「(仮想通貨は)資金決済法で対応してきたが、実際には投機の対象となったり、資金調達に使われたりと複合的な機能を有している」と指摘し、「制度的な対応をするには現行法に縛られず、あるべき法体系をしっかりと議論すべき」とコメント。「(仮想通貨の世界は)変化が速い」とし、今後はより具体的な議論を進めたいとした。

 

自主規制の主なもの

 自主規制規則の概要は多岐にわたるが、ここでは資料に掲載された主要なものを取り上げる。

仮想通貨の取り扱い

・交換業者が新規の仮想通貨を取り扱う場合、協会会員による内部審査を行った上で、協会への事前届出が必要

・匿名通貨については、マネーロンダリングなどの観点から問題があるため、これらの問題が解消されない限り禁止

 どの仮想通貨を取り扱うのかは最終的に各事業者ごとに金融庁に届け出る形になるが、奥山会長は「同一の通貨に関して、各社で違う説明をすることがないよう、協会が申請のための統一フォーマット作ろうとしている」と話す。また協会側が通貨に関する情報を共通開示することを考えているという。

利用者財産の管理

・仮想通貨の管理について、オンラインのホットウォレットで管理する仮想通貨の上限を設定

・マルチシグなど受払担当者にようる不正流用を防止するための必要な措置を講じる。

システム関連

・各事業者でシステムリスク管理責任者、情報セキュリティ最高責任者を配置。

・定期的なシステム監査の実施や、管理システムへの外部からの侵入にチアする脆弱性の点検などを行う。

反社会的勢力への対応

・各事業者で反社対策の責任者を設置

・疑わしい取引の検出・当局への届け出を徹底

 また従来は各事業者が個別に警察当局と連携するなどしていたが対応していたが、協会としてリストを作成するなど、業界全体の対応力を強化させる考え。

苦情処理・紛争解決

・各事業者ごとに苦情対応に対する連絡先や方法、受付時間などを情報開示

・協会ホームページから会員企業に対する苦情を受け付ける体制も整備

・弁護士会が運営する金融ADR(裁判外紛争解決制度)とも連携

勧誘・情報開示

・アフィリエイト広告規制やSNS利用規制

・サイバー攻撃により仮想通貨が流出した場合の賠償方針や、業務報告書、直近の財務書類、監査報告書の内容などを開示

証拠金取引

・証拠金取引に関しては証拠金倍率の協会指定水準を4倍、もしくは事業者自身が決定する水準の選択利用(1年限りの暫定措置)

・1年以内に未収金の発生状況を勘案して、4倍の指定水準に統一

・ロスカット取引の導入を規定。未収金が発生した場合には協会に報告。

不正取引防止

・相場操縦やインサイダー取引のような不適正取引があった場合の協会への報告義務付け

ICOの取り扱い

 ICOに関する自主規制を検討するとしている。交換業者もしくは第三者が発行した仮想通貨を販売・交換をする場合、事業の適格性や実現可能性を審査や、安全性の検証、情報開示を求める。