日本最大規模の電子商取引企業であり、時価総額が125億ドル(約1.3兆円)以上にのぼる楽天は、ブロックチェーン技術と既存の「楽天スーパーポイント」のロイヤルティプログラムに基づく「楽天コイン」と呼ばれる独自の仮想通貨を立ち上げる構想を立てている。

 楽天の会長兼社長であり創立者の三木谷浩史氏は2月27日、バルセロナで開催中のモバイル・ワールド・コングレスでの講演でこの構想を発表した

 三木谷氏は、この新しく発表された資産を「国境のない通貨」と表現し、アマゾン、アリババ、あるいはeBayのようなオンライン小売業者のライバル企業から楽天を差別化し、小売業者と卸売業者の間の関係を「再構築する」という楽天のビジョンを強調した。

 「基本的に、小売業者と卸売業者の間のネットワークを再構築することが弊社のコンセプトとなっています。弊社は(小売業者と卸売業者を顧客から)切り離さずに、商売を促進する役割を果たしたいと考えています。それこそが、ただより大きな利便性を提供するだけでなく、社会に力を与えようとする弊社の信条です」と三木谷氏は述べた。

 楽天スーパーポイントのロイヤルティシステムは15年前に立ち上げられて以来かなりの成功を収めており、楽天の顧客へのスーパーポイントの累計付与数は約91億ドル(9753億円)に相当する1兆ポイントを超えている。

 ポイントは顧客が楽天市場で買い物をする度に付与され、楽天市場で将来購入する商品の割引や特定の商品やサービスの購入に使用することができる。

 楽天は、顧客を引き込み関係を構築するため、ブロックチェーンに基づくロイヤリティプログラムを実行し、仮想通貨への関心が高まっていることを活かして、世界規模で新たなロイヤルティプログラムのメンバーを募ろうと考えている。

 しかし、楽天は同サービスの開始日に関する詳細を一切発表していない

 楽天がビットコイン決済代行サービスのビットネット(BitNet)の知的財産を取得し、電子商取引とフィンテックにおけるブロックチェーン技術の応用可能性を研究する「楽天ブロックチェーン・ラボ」を開設してから、今回の発表に至るまで2年近く経過している。