5億ドル(約535億円)とも言われる広告費を使ってスーパーチューズデーから参戦したマイケル・ブルームバーグ氏が、4日に米大統領戦の候補者争いから撤退を表明。これで残る有力候補は、民主党の主流派であるジョー・バイデン氏と社会主義者のバーニー・サンダース氏になった。
ブルームバーグ氏の脱落は、仮想通貨政治家がまた1人いなくなったことを意味する。昨年まで仮想通貨に対して否定的な立場を取っていた米国において仮想通貨が槍玉にあげられる可能性が減ることになり、今年の仮想通貨業界にとってはポジティブなニュースと捉えられるかもしれない。
民主党の指名争いに名乗りを上げたブルームバーグ氏は先月、将来的な金融危機に対処するための提案の中で、仮想通貨に対するより透明性のある規制を提案。具体的には、イニシャルコインオファリング(ICO)の法的枠組みの整備、仮想通貨犯罪からの消費者の保護、仮想通貨の投資に対する税制改革などを挙げた。
先月には、ブロックチェーンを使った投票などを公約に掲げていたアンドリュー・ヤン氏も民主党の大統領候補者争いから脱落していた。
バイデン氏とサンダース氏は、仮想通貨やビットコインに対して過去に発言していないと見られる。
リベラルで「進歩派」であるエリザベス・ウォーレン氏は、まだ撤退を表明していないが、代議員の数で上位2人に遠く及ばず、事実上、大統領候補に指名される可能性はない。
ウォーレン氏は、仮想通貨懐疑派として知られている。過去には仮想通貨による詐欺の多発を懸念点として強調し、「消費者を保護しながら仮想通貨の生産的な側面をいかに促進するかが課題だ」と述べていた。
米国の沈黙はポジティブ
米マーケット調査会社ファンドストラット代表のトム・リー氏は、米国政府の仮想通貨に対する沈黙はポジティブとみている。
リー氏は、今年ビットコインに強気な5つの理由の1つとして「米国大統領選」を指摘。米政府は昨年のビットコイン上昇相場を本質的に殺したが、今年の大統領選で米政府の焦点は逸れたため、仮想通貨にとって好材料と解説した。
昨年夏ごろにトランプ大統領はビットコインのファンではないと発言。ムニューシン財務長官はマネーロンダリング(資金洗浄)などを念頭に仮想通貨は国家安全保障上の問題と述べた。
また、フェイスブックの仮想通貨リブラに対して米議会のほとんどの議員が猛烈に反対した。