誰が最初にビットコインをデジタルゴールドだと呼んだのだろうか。

確かにビットコインは現在、価値の保存手段として最も適したものになっているだろう。デジタルゴールドという言葉はおそらく、ニューヨークタイムズ紙のナサニエル・ポッパー記者の書籍「デジタル・ゴールドーービットコイン、その知られざる物語」で広く人口に膾炙されるようになった。

2017年12月には「ビットコイン デジタルゴールド」の検索キーワードの検索ボリュームがピークを迎えた。ビットコイン価格がちょうど2万ドルを超えた時だ。

人類は古来より、金や銀、銅などの貴金属をお金として使ってきた。ビットコインが生まれる以前はコンピュータ科学者であるニック・サボ氏が「ビット・ゴールド」と呼ばれるビットコインの前身を開発した。

ビットコインが生まれてから10年が経ち、ビットコインは実際に「デジタルゴールド」となりうるのだろうかという議論が産業界で活発化してきている。

以下に専門家や著名人によるデジタルゴールドに関する発言をまとめた。

ビットコインは価値の保存手段として最良ですか? デジタルゴールドと言えますか?

Jonathan Reichental

「おそらく非常にシンプルな答えが言える。ビットコインはしかし、不安定であり続ける。金は変動するが、短期間で2倍にはならないからだ」

「フェイクかどうかに限らず、ダイヤモンドは美しい。そして、ダイヤはそれ自体は価値はない。しかしダイヤを購入するととても高価だ。それは非常に貴重だからだろう。美しく、特別な形をしている。私はある一つの企業が多くのダイヤを買い占め、高価格帯を維持していると想像している。なぜなら美しいダイヤモンドを全ての人が保有すると、あっという間に価格が暴落してしまい、そして価格は戻らないと考えられるから。この考えを証明はできないが、ある信頼できるソースから情報を得ている」

「仮想通貨の価値保存における大きな疑問は『価格が安定するフェーズに入ることができるのかどうか』だ。基準はできるだろうが、おそらく規制の欠如の中に安定は存在しない。これは仮想通貨の市場にとっては厄介なことだ。そして、この安定のためには各国間で合意した規制が必要だろう」

「仮想通貨が長期間にわたって安定し、各国の政府や組織に認識されるようになるまで、私はゴールドやその他の安定した資産を代替することはできないと考える」

ジョナサン・レイチェンタル
ヒューマンフューチャーCEO兼UCバークレー教授、前パロアルト市チーフインフォメーションオフィサー

 

Changpeng Zhao

「ビットコインはゴールドではない。ゴールドは重く、運ぶのが大変だ。ビットコインの方が優れている」

 ジャオ・チャンポン
バイナンスCEO

 

Tone Vays

「ビットコインは世界の歴史の中でも最も偉大な価値保存手段かもしれない。確かに7年間しか役に立っていなく、変動性が高い。しかし押収される恐れがないという点で並ぶものはないだろう。金は押収されることもあり、その他の資産はもっと簡単にそうなるかもしれないからだ」

トーン・ベイズ
元JPモルガンアナリスト、ブロックチェーン研究者

Susan Oh

「2016年に友人であるダン・ソコル氏にビットコインを持っているか聞いたところ、『持っているわけがない』」と発言した。ダンはシリコンバレーに40年住んでおり、現在は定年退職している。世界初のハッカーであり、半導体エンジニアであり、発明家だ。彼は『めちゃくちゃにして、壊して、直し方がわかったら、それがどのような方法だったか教えてくれ。』といってたね。」

「彼でさえもにビットコインを保有するのにリスクを取りたくないと言った。ボラティリティがある取引で短期的利益が確定する状態では、価値の保存にはならないし、通貨でもない。ただ、ビットコインは単一障害点がないトラストレスなシステムを提供する優れた技術だ。透明性かつ非中央集権、そして価値の民主化という哲学を持つテクノロジーだ」

スーザン・オー
国連総会ブロックチェーン影響部会共同議長

 

Joseph Bonneau

「価値の保存という定義は少しわかりにくい。みんなが長い間価値があると信じていれば、それは価値の保存として機能する」

「ゴールドは究極の価値保存手段だ。いくつかの例外を除き、人類の歴史の中でほとんど全世界で価値があると考えられてきた。そのため、どのような政治的変化が起きても、ゴールドは価値あるものであり続けると広く信じられている」

「ビットコインでは価値があるかどうかはまだ明確ではない。ただ、今後5~10年後にはほとんど価値がないと考えられるかもね」

「『価値の保存』は経済的な定義であり、法的な定義ではない。私は詳しくないけれど。」

ジョセフ・ボノー
「仮想通貨の教科書」共著者

 

Vinny Lingham

「私はもともと、サトシがビットコインを価値の保存ではなく、決済手段として捉えていただろうと考えている。そうはいっても彼はビットコインの元を去っていったために、コミュニティは良くも悪くもコントロール下にあるけどね。」

「ビットコインは公表されて以来、デジタルコモディティとして認知されるプロセスにある。本質的に『価値の保存』は法定通貨や通貨バスケットのように価値の下落などが起きにくいコモディティとなる可能性がある」

「地域経済や世界経済への構造的変化による影響を除き、価値の保存によって、価格があるレベルを下回らないと予測される。その価格は時間ととも減少することはなく、実際には増加することもある」

「ビットコインは信頼できる交換媒体だ。『通貨』になるには安定し、ボラティリティが低いことが必要になる。つまり人々はビットコインを信頼し、保持する必要がある。なぜなら彼らが信頼することで価値が変動しなくなるからだ。最終的に通貨になるためにはネットワーク効果と供給量の限界である2100万BTCへの需要が重要となる」

ヴィニー・リングハム
シビックCEO

 

David Orban

「過去10年にわたって、ビットコインを知り、ある程度の金額を保有した多くの人がゼロから数百万に増えた。今後10年間ではこの数は数億、数十億へと増えていくと私は信じている」

「ボーダレス、パーミッションレス 、ポータブル —。ビットコインは実際にゴールドより優れている。ベネズエラのような例は長年に渡り、新しいもの(ビットコイン)に置き換えられるだろう。オイルマネーが消滅し、新たな地政学的秩序が出現したら米国民はどうなるのか。彼らはビットコインを信頼し、大量保有するだろうか。」

デビット・オーバン
ネットワークソサイエティベンチャーズ創業者

 

Sonya Mann

「私は『価値の保存』を定義することに懐疑的だ。ビットコインが価値の保存としての基準を満たしているかどうかは、購入また保有によって実際に成し遂げたいこと次第だ。あなたの目標は何か、その目標を達成するために必要な特性は何か、そしてビットコインはその特性を持っているか。他の選択肢はあるか。つまり『価値の保存』としての優先順位は何か。どのようなトレードオフを考えているのか。そこに答えがある。」

ソンヤ・マン
ジーキャッシュ・ファウンデーション

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版