米内国歳入庁(IRS)で刑事捜査責任者を務めたドン・フォート氏は、収益を適切に報告しない仮想通貨保有者との「チキンゲーム」が2021年には新たな局面を迎えると警告している。

3日に公開されたフォート氏の記事では、今までは適切な報告については、一般市民に通知することを重視してきたが、今後は「執行」に転じるだろうと指摘している。

「2021年以降、IRSは啓発から執行への移行に向けて静かに構えている」

記事の中では2018年にIRSがコインベースに対して発行した匿名召喚状(John Doe summons)に抵抗した内容について触れている。匿名召喚状はIRSが納税者IDや氏名、生年月日、取引履歴といった顧客情報を要求したもの。コインベースは50万人の顧客情報を求められたが、裁判所は1万3000人分のみを提出するように命じた。

また、記事ではIRSがルクセンブルクの仮想通貨取引所ビットスタンプに対して、米国人ユーザーの情報を要求したことにも触れている。

仮想通貨保有者に焦点が当てられているのは納税すべき税額と実際の納税額の差である「タックス・ギャップ」が拡大していることも要因のようだ。記事では、米国の個人所得税申告書であるフォーム1040に仮想通貨に関する質問を追加するなど、仮想通貨での未申告を根絶するための努力を続けていることについても触れている。

「IRSは仮想通貨が関与する脱税やマネーロンダリングに関して発表していないが、2021年にはその傾向が変わるだろう」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン