IoT(インターネット・オブ・シングス、物のインターネット)に特化した仮想通貨であるIOTA(MIOTA)が快進撃をとげている。コインマーケットキャップによると、時価総額ベースでリップルを抜き第4位の仮想通貨となっている。

 コインテレグラフではIOTA躍進の背景について、IOTA共同創業者であるドミニク・シャイナー氏とデイビッド・サンステバ氏に話を聞いた。

コインテレグラフ:過去数週間でMIOTAが暴騰した理由をどうみているか。

IOTAチーム:この二年間マーケティングを一切せずIOTA開発に集中してきた。この間、次世代の分散台帳技術を現実のものとすることにフォーカスし、IOTAを仮想通貨取引所に上場させることにも拒否してきた。全てが正確に作動することを確認してからにしたかった。

おそらくこれが突然注目を浴びたようにみえる原因だ。長期間プロジェクトを観察してきた人が、IOTAを買えるようになった。韓国の仮想通貨取引所であるコインワンで取引がはじまったこと、データ・マーケットプレイスのローンチ、そしてこれに続いたメディア報道がIOTAの仮想通貨界と分散記帳プロトコルにおけるリーダー的な立場を確立した。

これらが、IOTAを一歩ひいて観察してきた人たちが参入するきっかけになったと思っている。

コインテレグラフ:マイクロソフトと富士通等とも連携を開始した。

IOTAチーム:マイクロソフトはAzureプラットフォームを通してクラウド・ソリューションを提供している。富士通、サムソンARTIK、アクセンチュア等もデータ・マーケットプレイスに参画し、分散台帳上で(IoTの)データを安全かつ恒久的に記録し取引するコンセプトを模索している。ビッグデータのビジョンを実現するため、IoT上でデータを自由に行き来させる最初の一歩だ。

コインテレグラフ:IOTAの「タングル」は通常のブロックチェーンとどう違うか。

IOTAチーム:端的に言えば、IOTAはブロックチェーンとは違い手数料、拡張性の制限、そして中央主権の問題を取り払っている。検証作業をプロトコル使用の内在的特性にすることで実現した。IOTAで取引を行うと、それに遡る二つの取引を認証することになる。この二つの取引もまた、他の二つの取引を参照する。これが、我々が「タングル」と呼んでいるDAG(有向非循環グラフ)を形成する。

ユーザーは使用者であると同時に取引認証者となるので、ブロックチェーンにあるマイナーやそれに係る手数料や中央集権化がなくなる。ネットワークに発信される取引またはデータ送信の一つ一つに二つの取引が認証されるので、認証量(毎秒の取引量)が台帳上の活動量(取引量)とともに増えていくことになる。要するに、活動量(取引量)が多ければ多いほど、認証量も増えるという仕組みだ。

コインテレグラフ:トラスト(信用)システムはどう変わっていくか。

IOTAチーム:決定が自動化し即座にグローバル規模で実行される時代にとって、信用システムは基軸となるものだ。データの正確性、安全性、一貫性は(信用システムの)基幹部分になると思っており、IOTAはこれを無料で提供している。また、一歩進んで、現在「IDentity of Things(IDoT)」(物のアイデンティティー)というものを開発中だ。これを使えば、IoTに接続されている機器を安全にしたり、セキュリティ侵害やマルウェアへの対策となる評価制度を開発することが容易になる。

 

あわせて読みたい過去記事

 IoT向け仮想通貨IOTAが暴騰、マイクロソフトや富士通との連携うけ(2017年12月7日)

 仮想通貨の未来はDAGコインにあり?ブロックチェーンに代わる技術に注目(2017年11月2日)