チェイナリシスの推計によると、2024年の不正な仮想通貨取引高は最大で510億ドルに達した可能性があるが、市場全体に占める不正使用の割合は過去3年間で最低水準に落ち込んでいる。
昨年の不正な仮想通貨取引高は約410億ドルだったが、過去の傾向や新たに不正アドレスが特定されることにより、さらに100億ドル増加する可能性があると、ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは1月15日のブログ投稿で指摘する。
「これらの数字は今日までに特定された不正アドレスへの流入に基づく下限推計であり、2024年は不正な関係者への流入が記録的な年だった可能性がある」とチェイナリシスは書いている。「1年後には、より多くの不正アドレスを特定し、それらの過去の活動を推計に組み込むことで、これらの合計はさらに高くなるだろう」とまとめている
Source: Chainalysis
仮想通貨市場は、2022年後半からの停滞を経て2024年に復活し、米国の上場投資信託(ETF)やドナルド・トランプ氏の大統領選勝利が市場を後押しし、12月中旬には時価総額で3.9兆ドルに達した。
仮想通貨の使用が増加したにもかかわらず、昨年の市場における不正な仮想通貨取引高の割合は0.14%に低下し、2023年の0.61%と比べて低い水準となった。これは2021年の0.12%以来の低水準になる。
不正な仮想通貨取引高の割合. Source: Chainalysis
チェイナリシスは、国際的な組織犯罪グループが、マネーロンダリングや麻薬取引、人身売買、野生動物の密売などの犯罪において仮想通貨をますます利用するようになっていると話す。
昨年の不正な仮想通貨取引高の総額409億ドルのうち、約110億ドルは「ハッキング、恐喝、密売、詐欺」に関与するウォレットや、これらの犯罪を行うために必要なサービスを提供するウォレットに送られたとチェイナリシスは指摘する。
ステーブルコインは不正資金を移動するための最も人気のある仮想通貨であり、不正取引高のほぼ3分の2を占めていたという。