新型コロナウイルスを契機にリモートワークが進む中で、出社の課題となっている「ハンコ文化」に関する議論が高まっている。コインテレグラフはこれまでにbitFlyer BlockchainのCEOである加納裕三氏やエストニアと日本を拠点に活動しデジタル社会の身分証、デジタルIDを提供するblockhive代表取締役である日下光氏に話を聞いた

今回は、このほど弁護士ドットコムなどが展開する電子署名サービス「クラウドサイン」と提携すると発表したブロックチェーン関連企業のレイヤーX(LayerX)。同社は企業のデジタル化支援を進めている。

LayerXが進めるデジタルトランスフォーメーションにブロックチェーンはどのように関連してくるのだろうか。

LayerXが課題と考えているのは、業務をいかにデジタル化するかだ。LayerXはコインテレグラフに対し、ブロックチェーン技術と電子署名サービスは「補完し合うもの」だと指摘する。

クラウドサインのような電子署名サービスとブロックチェーンを使ったデジタル化の違いについて、LayerXは「電子署名のサービスはなりすましを防ぐもの、ブロックチェーンは順序を保証するもの」という点で異なると解説する。

「例えば、電子署名サービスはXさんが署名したことは保証できますが、請求書を発行する前に署名したかは保証してくれません。ですので、クラウド型の電子署名サービスは、そういう意味で長い一連のワークフローの一部をデジタル化する技術だと捉えています。一方でブロックチェーンは電子署名サービスなり他の様々なサービスを繋いだワークフローを作って行くときに、強みを発揮する技術です。クラウド型の電子署名サービスとブロックチェーンの技術は比較するものというよりは、補完し合うものと理解したほうが正しいと思っています。」

世の中の業務のデジタル化が進み、各社SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス=ネットやクラウド経由でソフトウェアを提供するサービス)企業が多くのサービスを展開するようになっている。

しかし、LayerXは、「クラウドサインのような電子契約、あるいはクラウド会計、銀行APIのようなSaaSはワークフローの部分部分のデジタル化を実現するソリューション」として、こうしたSaaSが提供するのは部分最適になっていることが課題だと考えている。そこでブロックチェーンを活用するという。

「一連のワークフローを「デジタル」に構築しようとするとSaaS間の連携や、そのワークフロー自体が正常に機能したかのログの記録、トレースバック性や監査性を担保する必要があり、SaaSだけではカバーできない部分でもあります」

LayerXは現在の社会では「業務のデジタル化」が起きているとしており、現在の世の中の課題にはブロックチェーン技術の活用が必要なものもあれば、そうでないものもあるとしている。

ただ、その中でもブロックチェーンは重要な技術であり、「脱ハンコ」といった「業務のデジタル化」に取り組んでいくという。