データ・情報は、近年急速に広がり、最も貴重な商品となりつつある。エンタープライズレベルの企業は、セールスから市場分析、顧客維持に至るまで様々な分野でデータ分析を取り入れている。

しかし、ビッグデータのやり取りが盛んになるにつれ、より深刻な、ある種の哲学的命題が浮上する。それは、企業がアクセスし、産業から収益を得るために利用しているそのデータの所有権は一体誰にあるのだろうかという点だ。

写真家やライター、3Dイメージなどを取り扱うクリエイターたちは、データによって収益を得るための新しい有用な方法を模索し始めている。同時に、消費者もまた、どのデータが公開および、販売され、利害関係を生んでいるのか知る必要がある。

 

クリエイターのためのブロックチェーン

 

ブロックチェーン技術は分散型元帳のデータベースに基づいており、これは、情報がデータベース上に保管、もしくは分散した状態で格納されるということだ。

この分散型システムは、金融業界におけるデータ共有やセキュリティといった面で非常に大きな利点を生む。企業の中には、中央集権的なハブを通さずにコンテンツを他のユーザーに自由に販売できるよう、クリエイターたちから根強いプッシュを受けていると感じているところもある。

FacebookやTwitter、InstagramやGoogleなどの企業は、そうした情報を利用し会員数を伸ばし、利益を得ている。しかし、クリエイターにはわずかな収益しか残らず、サイトや他のデータチャンネルを利用して広告収入を得ることしかできない。

ブロックチェーン技術は、中央集権的な企業に介入させることなく、制作者が直接コンテンツを買い手に売ることが出来るようなシステムを生み出すことが出来る。サービスを提供しているといった理由で利益の大部分を持っていくハブではなく、クリエイター側が自分たちのコンテンツからフルに収益を受け取ることが出来る様になる。事実上、管理ハブがブロックチェーン技術に預けられるような形だ。

ブロックチェーン技術を利用したこうしたシステムの影響力は明白なものだ。例えば、Cappasityのような企業は、VRやオンライン店舗向けに重宝する3Dイメージのデータベースを構築している。Google、あるいは独自に価格を決めユーザーやプラットフォームの取捨選択が出来るコングロマリットに支払いを行うのではなく、プラットフォームメンバーが自由に価格を決め、望む人に売ることが出来る。

クリエイティブなコンテンツを作成し収益を上げることが徐々に難しくなっている一方で、ブロックチェーン技術の分散型元帳システムは、まさにそうしたシナリオにぴったりなシステム

をメインストリームに持ち込むとして期待されている。

 

消費者のためのブロックチェーン

クリエイターにとっては、ブロックチェーンは単なるデータを越えて、消費者のためのコンテンツを収益化する、新しい魅力的な方法を提供することが出来る技術でもある。新規顧客の開拓や、既存の顧客を失いたくない企業にとって、データは大変貴重なものだ。

ソーシャルメディアからモノのインターネット(IoT)、ウェアラブルデバイスにいたるまで、利用者が毎日生み出すデータには全て価値がある。事実、アナリストの中には、利用者が日に生み出している7GBのデータは数百ドル相当だと分析する人もいる。

 

もちろん、中央集権的な企業は彼らの収支のためにコンテンツのマネタイズ方法を既に模索しているため、従来のプラットフォーム上でデータから収益を得る方法は皆無に等しい。

 

しかし、ブロックチェーン技術を利用することで消費者と購入者どちらも収益化した上で個人のデータを利用することが可能になる。ピアツーピアのブロックチェーン技術によるネットワークシステムは、プライベートにデータの売買が可能なプラットフォームを実現する。

多くの企業は既にデータ管理のメカニズムの体系を構築しており、ユーザーが単体の分散型元帳に全ての個人データを注入し、そこからどのデータを買い手に売るか決めることが出来るようなシステムが構築されている。

個人データ市場プラットフォームであるDatumの共同設立者、ロジャー・ハエニCEOは次のように語っている

「ブロックチェーン技術は、個人がデータ管理のための鍵を所有することで、大企業の管理の外で、トラストレスな分散型のセキュアなデータストレージを実現します。ブロックチェーン技術は、中央集権的な機関を通さず、誰でも自身のデータを利用して利益を得ることが出来るような分散型のデータストレージネットワークを初めて実現することに成功したのです」

一見すると、これは買い手の需要に反するように思えるかもしれないが、買い手は既にデータを利用するために支払いを―それも多額の支払いを行っていることに注視するべきである。

こうしたプラットフォームは、買い手の購入意欲を継続するモチベーションを生み出した上で、顧客との直接的なやり取りを可能にするのだ。

 

まだ始まったばかり

 

上記のようなソリューションは最先端のものである一方、現実としては、我々はまだまだブロックチェーン技術の素晴らしさについて学び始めたばかりである。間違いなく、今後も新たなアプリケーションやシステムが生まれ続け、データを生み出し生産する上での権利を個人が管理できるより素晴らしい方法が世の中に登場してくることだろう。


 

※原文

https://cointelegraph.com/news/how-blockchain-can-help-creators-and-consumers-monetize-data