仮想通貨取引所ビットバンクの廣末紀之代表が29日、2020年の総括と、今後の展望をまとめた。この中で廣末氏は「新型コロナ」やペイパルの仮想通貨業界参入によって、大きく資金が流入したこと強調。また2021年は「暗号資産を活用した有益な社会実装を提示すること」や、「現物市場の流通環境を整備すること」を同社としても目標として掲げた。
廣末氏は2020年を上半期と下半期に分けて総括。上半期は新型コロナウイルスによって人々の移動が制限されたことでインターネットに触れる機会が増え、暗号資産業界にはプラスに作用したと指摘。さらに世界の中央銀行が大幅な金融緩和を実施したこと、政府が財政出動もプラスになったという。
また、仮想通貨のインフレヘッジとしての側面にも光が当たったことを強調した。
「中央銀行の法定通貨の増刷は、現時点で兆候はないものの、将来的なインフレの懸念を産むこととなり、結果、低金利による運用難に直面する機関投資家が、インフレヘッジの目的も含めて暗号資産に着目し、本格的なアセットクラスの一つとして認知し始め、そのマネーが市場に流入し始めた」
2020年下半期については、ペイパルの仮想通貨決済を可能にしたことが大きいと指摘。これによって「暗号資産=単なる投機の道具 というイメージを覆し」決済活用という機能面に注目されることで、価値を引き上げることになったとした。
さらにコロナが収束する兆しが見えないために、機関投資家の資金が仮想通貨に流入。「米国金融機関の参入は加速し、暗号資産は運用対象としての価値をさらに高めたと言えます。」とした。特にマイクロストラテジーのビットコイン購入がインフレ懸念の投資家が増えていることを象徴づける出来事だったという。
2021年に向けては引き続き現物取引市場を強化することを表明。将来、民間で様々な仮想通貨が発行され、流通するようになった時に取引所としての役割を果たすためだという。
デリバティブに関しては、「我々が現物の暗号資産自体のユーティリティを示せていない現状でデリバティブだけが先行していると、単なる投機対象と捉えられても仕方ありません。」としており、そのために「暗号資産を活用した有益な社会実装を提示すること、そのために必要な現物市場の流通環境を整備すること」に取り組みべきだとまとめた。